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2020年度新着一覧

2020/10/12

2020年度前期「卒業証書・学位記授与式」挙行

2020年度前期「卒業証書・学位記授与式」は、9月30日(水)11時より講堂において執り行われ、合計21名(大学院1名、文学部20名)が学窓を巣立ちました。

学長の調声による勤行後、大学院修士課程修了生に「学位記」を、文学部卒業生代表者に「卒業証書・学位記」が学長から授与されました。

学長は「初代学長の清沢満之は、仏教の縁起の真理を「万物一体」と言いました。私たち一人一人も、それぞれが個々バラバラに生存しているようであるが、実はみんなつながっていて、決して一人で生きているわけではないということです。コロナ禍にあっても人間は相変わらず愚かしい争いを繰り返しますが、皆さんには大谷大学の卒業生として、そのことに痛みを感じ、その痛みをバネにして、みずから進むべき方向性を見出していってほしい」と告辞を述べました。

また、真宗大谷学園・真城専務理事からは祝辞として「大谷大学はバランスの良い教育を行っている。卒業されてからも教育の内容を思い出していただきたい。大谷大学はこれからもみなさんを応援しています」とメッセージを送りました。

  • 学位記授与
  • 木越学長による告辞
  • 真宗大谷学園・真城専務理事による祝辞

【写真左から  卒業証書・学位記授与 / 木越学長による告辞 / 真宗大谷学園・真城専務理事による祝辞】

なお、「卒業・修了ならびに同窓会新入会員歓迎祝賀会」は、 新型コロナウイルスの状況に鑑み、中止としました。

【総務課】

学長告示/全文

皆さん、本日は卒業ならびに修了、まことにおめでとうございます。

さて、みなさんにとって大谷大学での学びはいかがだったでしょうか。前期の卒業ということで、人一倍の苦労と努力の中から卒業の日を迎えることができて、喜びもひとしおのことかと思います。特にコロナ禍、特殊な形で単位取得、論文指導がありいっそう苦労も大きかったと思います。ただ、皆さんの戸惑いや人一倍の苦労、そしてそれらを乗り越えた経験は、間違いなく今後の人生にとって大きな力となるはずです。
 
大学での学びに加え、本年は、コロナ禍から私たちはたくさんのことを学んだ、あるいは学ばなければならないと思っています。大谷大学の学びの精神を、近年は「Be Real—-寄りそう知性—」という言葉で表現していますが、特に「寄りそう知性」ということの難しさを知らされるような思いがあります。

2019年12月に中国湖北省武漢市で発生したとされる新型コロナウイルス感染症が数ヵ月の間に世界中に広がり、いまだ終息の糸口さえ見いだせない状況にあります。たった2~3カ月で、全世界を覆う大きな苦悩となりました。交通網の発達によって経済活動が世界を股にかけて活発化し、人間の移動も容易になって世界が狭くなったとされますが、その影響をまともに受けたのが今回のコロナ禍であると思われます。

大谷大学の初代学長の清沢満之は、仏教の縁起の真理を「万物一体」と言いました。「すべてが一体である」ということですが、あらゆる存在は一見、バラバラであり別々に存在しているように見えるけれども、すべては関係し合い一体であるということです。私たち一人一人も、それぞれが個々バラバラに生存しているようであるが、実はみんなつながっていて、決して一人で生きているわけではないということです。だからこそ、すべてはお互いに補い合い、助け合わなければならないのだと、清沢は言いました。

コロナ禍は、まさにすべてが繋がっている、万物一体の真理を明白にした大きな禍なのだと思います。しかしそこで、みんな一緒になって共に立ち向かい乗り越えなければならないはずの課題を前に、残念ながら一緒に乗り越えようと団結できないでいる人間の姿が露わになるのが現在だと思います。ワクチン開発がワクチンを専有するための争いとなり、感染拡大の責任を押し付け合うような批判が見られ、罹患された方を誹謗中傷して差別する動きまでが見られます。これらは、共に向き合い乗り越えるという姿勢からは程遠いと言えるでしょう。

万物一体を説いた清沢は、人々は苦悩を共にし、一緒に乗り越える努力をすべきだと説くと同時に、実はこれはそれほど簡単なことではないとも言いました。「共に」と言いながら、やはり人間は、あるいはわたし自身も、自分や自分の身の回りのことが中心となって、自分ファーストの姿勢から抜け出すことができないでいます。清沢も、万物一体の真理があっても、他者のために奔走することができるのは、立派な聖人やお釈迦さまぐらいだと言いました。

しかし加えて、だからと言って諦めてはならないとも言います。それぞれがそれぞれ自分勝手に生きればいいのかと言えば、そうはいかないのだとも言いました。なぜなら、それぞれが勝手に生き、自分ファーストを主張しても、万物一体という事実、みんなは繋がっているという真理は、変わらないからです。

どうしても自分のことしか考えられないのが確かに私たち人間です。しかしそこで一番大切なのは、そのことに対して「痛み」を持つことだと、最後に清沢は言いました。みんなが苦しんでいる場面、お互いに他者のことを思いやって生きなければならない場面で、自分のことばかりを考えてしまう自分がいるということに気づき、痛みの心を持つことが実は大切なのだと説きました。それは、その痛みが次の自分の正しい生き方へのバネとなるからです。コロナ禍にあっても人間は相変わらず愚かしい争いを繰り返しますが、皆さんには大谷大学の卒業生として、そのことに痛みを感じ、その痛みをバネにして、みずから進むべき方向性を見出していってほしいと思います。私たちは決して偉い聖人君主や、お釈迦さまのような慈悲深い態度で生きることはできませんが、しかし、自分勝手に生きることに痛みを持つ心、愚かしく争う人間を痛む心を大切に、それをバネに、それぞれが生きていく道を正しく探していければと思います。

今日で卒業です。皆さんの学生としての立場は終わります。しかし、同窓生としての立場が新しく生まれました。この立場は、永遠に続きます。昨日も実は、昨年卒業していった私のゼミの学生が訪ねてきてくれました。離職し、再就職の相談に来てくれましたが、キャリアセンターでは職員の方が丁寧に対応してくださいました。大谷大学は今日皆さんを送り出す母校ですので、何かあったらいつでも帰ってきてください。待っています。

本日は、ご卒業・修了、誠におめでとうございました。
【大谷大学長 木越 康】

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