2019/07/04
2019年6月 御命日勤行・講話 厳修 ならびに
大谷大学奨学生証書授与式 挙行
御命日勤行・講話 厳修
6月27日(木)10時40分より、今月の「親鸞聖人御命日勤行」を本学講堂において厳修しました。勤行は、混声合唱団の「仏教讃歌」で始まり、『正信偈』を学長の調声のもと全員で唱和しました。
次に学生の感話では「大谷大学での学び」というテーマでお話いただきました。
1人目の学生は、「今年2月に開催された真宗学科国際コースの北米開教区海外研修の参加を通して、アメリカでは、違う宗教同士でもとても仲が良いことを知り、お互いの宗教や宗派をリスペクトし合っているからだと思った。その経験を通して、他の宗教や宗派を知ること、そして違いを分かったうえでリスペクトし合うことが大事だと気付かされた」と述べ、「今回の研修で学んだ日本の宗教や文化の良さや改善点、他国の良さをこれから取り組む卒業論文を通して、深く考えていきたい」と話をしてくれました。
2人目の学生は、「戦国時代の資料・文献を研究する中で、人間学で学んだ『日本霊異記』や『ジャータカ』を通して、はるか昔より仏教と共に歩んできた人々の姿があり、そこに私が関心を持つ戦国時代の真宗を中心とした人々の姿を重ねると、親鸞聖人や真宗の教えと共に生きている人々の姿が目に浮かぶように想像出来る」と述べ、「歴史を学ぶうえで、資料をただ読むだけでなく、そこから同じ生きている人の事跡として、歴史を捉えるという視点を持つことの大切さを、この大学で学ぶ中で知ることができた」と話をしてくれました。
続いて、本学の國賀教授から、「一枚の葉っぱに宇宙をみる—日本画家小倉遊亀の信仰と画業—」と題された講話がなされました。講話では、小倉遊亀の生涯を作品等のスライドを見ながら、「野の花にも、童女にも、果物や野菜にも、そして舞妓にも、あらゆるものに宿る仏性を描き出すことにあり、『一切衆生悉有仏性—全ての生きとし生けるものは、仏になる可能性を有している—』という大乗仏教の思想が制作の根本にあり、その思いこそ常に遊亀の画業を支えてきた」とお話をいただきました。また、講題となった「一枚の葉っぱに宇宙をみる」とは、入門時に悩んでいた遊亀に、師である安田靫彦が「一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入ります」と諭してくれた言葉で、終生遊亀の指針となったものから引用したとのことです。遊亀は、晩年まで、「とらわれるということが、一枚の葉っぱを手に入れるための最大の妨げ」と考えており、「一枚の葉っぱは、例え永遠に手に入らなくても、そこに一歩でも近づくため命の限り懈怠なく精進することが畢竟の目標となっていた」と話をしていただきました。