2012/10/26【学術研究】
2012年度大谷学会研究発表会
2012年度大谷学会研究発表会 詳細
日時 | 10月26日(金)13:00~16:10【予定】 |
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会場 | 大谷大学 メディアホール(響流館3階) |
「久多の木造五輪塔」 宮﨑 健司 【本学教授】
研究発表要旨
近時、京都市左京区久多で平安時代後期の制作と思われる木造五輪塔が発見された。本品は年紀等の墨書をもち、それを信じれば現存最古の木造五輪塔といえる。またCT撮影等により納入品の存在も知られ、その文化財的価値はきわめて高いものと思われる。しかし、本品に関する伝承は地元に一切残っておらず、伝来を知る手がかりは皆無である。 本報告では、木造五輪塔の概要を報告すると共に、久多に伝来した背景について諸史料を参照しながらうかがってみたいと思う。 |
「「入法界品」における夜天善知識の意義」 一色 順心 【本学教授】
研究発表要旨
『華厳経』入法界品には、善財童子という一人の求道青年が登場する。善財は、55人もの善知識を歴訪して菩薩行を問い、善知識たちの体得した仏教の境地を教えられる。中でも第32善知識からは九人の夜天が連続して登場する。その居所がマガダ国などの釈尊ゆかりの地であることも興味深い。 今回の発表では、善財の問いと夜天たちの教えの中にどのような仏教思想を読み取ることができるのかについて考察し、「入法界品」に夜天善知識が登場することの意義について考えることとしたい。 |
「人間学と文学-18世紀ドイツの場合」 廣川 智貴 【本学准教授】
研究発表要旨
18世紀のドイツにおいて、「人間学」という新しい学問がおこった。ここでとりわけ問題となったのは、「精神」と「肉体」に象徴される人間の二重性であった。「人間学」はこれらの相互作用を考察し、人間を「全的人間」として捉える。それまで軽視されていた人間の感情や内面が、ここに至ってあらたに注目され、正当な評価が試みられるようになったのである。この学問の特徴は学際的な点にあるが、そうした動向は文学にも影響を及ぼさずにはおかない。 本発表では、こうした「人間学」の影響を受けた18世紀ドイツの文学理論や作品を紹介したい。 |
「喪失と悲嘆-悲嘆のはたらきについての考察-」 佐賀枝 夏文 【本学教授】
研究発表要旨
人生において喪失との遭遇は、さまざまな様相を呈して「生き方」に影響すると考えられる。喪失とその心理過程についての言説は、キューブラ—・ロスによって開示され、その功績はおおきい。研究成果と影響はさまざまな分野に足跡を残している。そのひとつとして社会福祉学においては、「障がい」の受容という領域に、ある方向性を示唆したといえる。また、臨床心理学においては、ひとに及ぼす心理的ダメージについて、段階や過程をあゆむことを示唆した。 本研究は、とくに最終段階である悲嘆について、再検討を加えてみたものである。論点は、おおくの研究では「悲嘆期」として考える傾向があるが、過程や段階として考えることへ再考究を試みた。 |
タイムスケジュール
13:00 開会 13:10 研究発表・質疑応答 「久多の木造五輪塔」 宮﨑 健司 【本学教授】 13:50 研究発表・質疑応答 「「入法界品」における夜天善知識の意義」 一色 順心 【本学教授】 14:30 休憩 14:40 研究発表・質疑応答 「人間学と文学-18世紀ドイツの場合」 廣川 智貴 【本学准教授】 15:20 研究発表・質疑応答 「喪失と悲嘆-悲嘆のはたらきについての考察-」 佐賀枝 夏文 【本学教授】 16:00 閉会 16:10 終了 【予定】 |