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きょうのことば

きょうのことば - [2011年02月]

寛ならず急ならざる、これ身の調える相なり。

「寛ならず急ならざる、これ身の調える相なり。」
智顗『天台小止観』(『天台小止観─坐禅の作法─』岩波文庫75頁)

 中学や高校の先生が「服装の乱れは心の乱れ」などと言って服装検査をするのを、「こじつけだ」と腹立たしく思っていた人もいるでしょう。しかし、「形から入る」という表現もあるように、何かをするためには環境を整えてから行った方がスムーズです。これから勉強しようという時に、友人達が楽しく騒いでいる場所に向かう人はまずいないでしょう。勉強するためには、テキストや辞書といった道具を調え、図書館など静かな環境に移動することでしょう。多くの人が懸命に勉強している姿は、自分自身の勉強を進めていく上でも大きな励みとなるでしょう。

 仏教が心の在り方を重視するのは周知の通りですが、特に精神集中(禅定・止観)は、仏教者が修めるべき3つの項目(三学:戒・定・慧)の一つにも挙げられているほど重要なものです。標記の言葉は、その精神集中の仕方を具体的に解説した書物の中にある一節です。この書物では、「精神集中をするときには、最初に身体を調えなくてはならない」と言います。その「身体を調える」とはどういうことかと、細かく説明した後に次のようにまとめています。

弛めすぎるわけでもなく固くなりすぎるわけでもない。これが身体が調っている姿だ。

 「身体を調える」とはどういうことでしょうか。私たちは、何かをしようとする時には、この程度で良いのだとつい手を抜いてしまったり、或いは、必要以上に力を入れてしまったりします。「これぐらい失敗してもいいや」と斜に構えたり、「絶対に失敗することはできない」と前のめりになったりもします。いずれの姿勢も失敗する元です。

 心の有様を言う時には、このように、「斜に構える」や「前のめりになる」など、身体の姿勢を表現する単語を使います。自分の心であっても、これをコントロールするのは難しいですが、自分の姿勢をコントロールするのは比較的簡単です。ものごとに対する心の在り方を正しく定めるために、まずは姿勢を整えることから始めてみませんか。

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