ここからサイトの主なメニューです

Home > 読むページ > 今という時間 > 日本酒の誕生する季節

今という時間

今という時間 - [258]

「日本酒の誕生する季節」
中森 一郎(なかもり かずお)

 この季節になると「今夜も熱い燗酒をきゅーっと一杯」なんて思う日本酒党の中高年も少なくないことであろう。しかし、今、日本酒を嗜まない若者が増え、健康意識から焼酎に鞍替えする中高年も増えていると聞く。その影響は、酒販店の日本酒コーナーの縮小や、日本酒の蔵元数の激減にも現れている。蔵元数の減少状況は、1955年(昭和30年)の4021場を最高として、現在では1700場ほどという激減の数値となっている。
 酒類は、「酒は百薬の長」の諺の如く、飲み方さえ誤らなければ健康に害をおよぼすことはない。むしろ筋肉や精神的な疲労および緊張を和らげ、血栓溶解酵素を増加させるなど寿命さえ伸ばすという。殊に日本酒では、老化予防や健忘症及び痴呆症に効果がある物質、骨粗鬆症やアレルギーを防ぐ成分などの含有が確認されている。
 日本酒は、元来地方の食文化および風土とともに歩んできた文化である。醸造法では、世界的に稀な並行複発酵という技術が用いられる。醸造酒の香りや味に関わる成分は、ビールやワインより種類が多く、実に繊細なのである。
 戦前は、身体に優しい純米酒(米と米麹の酒)のみだった。蔵元数激減の現在、蔵元の創意工夫から、様々なタイプの日本酒が生まれている。一部でカップ酒の商品化が進みブームとなっている。楽しみ方色々、自分に合った日本酒を探り当てることが可能な時代にいる。
 多くの酒蔵では、年越えあたりから、日本酒ヌーボーの季節が到来する。あなたも、日本酒の活用法を開拓してみませんか。

Home > 読むページ > 今という時間 > 日本酒の誕生する季節

PAGE TOPに戻る

ここからサイトの主なメニューです