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今という時間

今という時間 - [251]

「気候変動」
西田 潤一(にしだ じゅんいち)

 愛知万国博覧会に展示されている冷凍マンモスが、人気を集めている。ところで、あの冷凍マンモスはどのような経緯で1万8千年もの間、永久凍土の中に保存されてきたのだろうか。マンモスが腐敗することなく、このように長期間保存されるためには、シベリアの環境がマンモスの死の直前まで温暖な状態であり、突然寒冷化して永久凍土地帯に変わる事件を想定しなければならないだろう。
 近年の地球科学の研究から、地球の気候はきわめて短期間に、それも数10年程度の期間で急変することが判明している。歴史をさかのぼるならば、9世紀から地球は温暖化し始め、12世紀から13世紀末にかけて現在よりもかなり平均気温の高い時代があったと推測されている。その後は19世紀まで小氷河期と呼ばれる寒冷期が続くことになる。
 今日、化石燃料の大量使用による二酸化炭素の増大の結果、温室効果によって地球温暖化が起きることが懸念されている。しかし、過去の気候変動の歴史に照らしてみるならば、現在の温暖な気候が突如寒冷化する可能性も否定できないのである。 
 特に、18世紀の寒冷な時期は日本の浅間山、アイスランドのラーキ山、インドネシアのタンボラ山の大噴火があり、その噴煙のパラソル効果による寒冷化が原因であると考えられている。このように考えるならば、温暖化のみならず寒冷化についても考える必要があるのではなかろうか。

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