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今という時間

今という時間 - [244]

「両属思考ノススメ」
木場 明志(きば あけし)

 中国・韓国による日本バッシングが続いている。国際秩序のありように、歴史的な変化を思う。
 江戸時代、琉球は日中の、対馬は日韓の<両属>地であった。互いにとっての辺境については、自国にとって脅威でない限りは不干渉とし、そこを拠点とする経済利益を共有することで秩序を保ってきた。しかし、明治以降、日本は欧米的な領土の考え方に影響され、国境の線引きを進めて、小笠原・琉球・対馬を日本領とした。が、経済上の重要地と看做されて来なかった尖閣諸島〔=釣魚島他〕・竹島〔=独島〕のように、両属のままの地も残された。互いに領有を主張すれば、そこには決着の見込みはないし、互いの利益を生みもしない。<両属>の伝統を生かす知恵が必要ではないのか。
  両属とは、互いの立場が異なる場合の緩衝措置であった。日本では、奈良時代から村々に山川沼沢などの共有地があり、村人はもちろん、山川などを挟んだ隣村の人々も薪や魚の採取ができた。争うことなく互いの利を保障することができた。
 近年の風潮に、何かといえば力に訴えてでも世事に決着を求め、対決をけしかける傾向がある。結果、勝ち組・負け組などの単純な尺度が横行し、ことがらの過程を軽視し、物ごとの多様性を見ようとしない人たちが増えている。       
 お互いの立場、利益を考える伝統ある思考法が両属思考であった。これはオススメである。

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