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今という時間

今という時間 - [182]

「ジンギスカンの墓探し・続報」
松川 節(まつかわ たかし)

 今夏もジンギスカンの墓に関するふたつのニュースが世界を駆け巡った。ひとつは内モンゴル・オルドス盟のオトク旗にある阿爾寨石窟(アルジャイアゴイ)がジンギスの葬儀と関連すると報じた7月10日付け『北京晨報』(ぺきんしんぽう)。しかし、その証拠とされたのはモンゴル貴族の葬送を描いた岩壁画だけであった。この石窟にはモンゴル文字銘文や岩壁画が多数あるので以前から注目していたが、その仏教的内容は、1227年のジンギスの死より、残念ながら半世紀以上後のものである。
 もうひとつは、昨夏「ジンギスカンの墓発見」とフライング発表して注目を集めたアメリカ・モンゴル合同調査が8月中旬に中止となったこと。「聖なる土地をジープで走り回ることは先祖への冒だ」というモンゴル国・前首相による現大統領宛て書簡が日刊紙に掲載されたことで、スポンサーであるアメリカ資産家の「宝探し」体質への非難が高まったからである。もっとも発掘地は10年前に日本モンゴル調査隊が有力候補地として表面調査し、最終的にはモンゴルではなく契丹の遺跡と結論付けた場所であり、もとより墓発見の可能性は無かったのだが・・・。
 一方、日本モンゴル調査隊によるジンギス幕舎跡発掘調査は、昨夏に継続して行われ、モンゴル帝国の歴代皇帝が築いた宮殿の多層構造に関する新たな知見が示された。こうした地道な継続調査の成果こそが、ジンギス及びモンゴル帝国歴代皇帝が埋葬された 「起輦谷」(きれんこく)の地を比定するための、遠回りながらも鍵となるのではないか。

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