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今という時間

今という時間 - [156]

「少年の闇」
村山 保史(むらやま やすし)

 少年事件の報道を見聞きしていると、やるせない気分になるときがある。事件の重大さについてもさることながら、少年に対する周囲の評価に関してである。教師や同級生が語る少年の学校での人物像。そこに含まれる「普通の学生」「おとなしい子」「目立たないタイプ」といった常套句が気にかかってならない。
 他者とは違う自分の特別の存在を認めて欲しい——このような思いを少年はもっていたであろう。しかし「普通」「おとなしい」「目立たない」とは、ときに特別の存在感を否定する言葉にもなる。周囲の評価は、少年には「良きにつけ悪しきにつけ特別の存在感がない」と言っているのに等しいのである。
 記憶力や特定の運動能力といったことに偏りがちな価値観の中に身を置かざるをえなかった少年。しかも信頼すべき評価者たちによって顧みられることのなかった少年。彼(彼女)は、どのようにして自己の存在を模索しようとしたのだろうか。
 自分を見失った少年は、闇に息を潜め、自らの存在を誇示する機会を虎視眈々と狙っていたのかもしれない。あるいは、突然暗闇に落とされた人のように、闇雲に周りに“ぶつかる”ことでしか自らの位置を確かめる術をもたなかったのかもしれない。このような思いが、澱のように心に残るのである。

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