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Home > 読むページ > 今という時間 > 父のバレエシューズ

今という時間

今という時間 - [128]

「父のバレエシューズ」
番場 寛(ばんば ひろし)

 小脳出血の手術を受けた父は、点滴、酸素吸入の器具、尿導管をつながれていた。人体は物質が通 過して行く「管」であり、水をあげなければ枯れてしまう草花のようにか弱いものだと思い知らされた。
 意識が戻って数日経ったときであろうか、「もうすぐリハビリが始まりますから、バレエシューズを用意しておいて下さい」と看護婦に言われた。かろうじて自分の名前が言えるだけの父と、バレエという言葉がどうしても結びつかない。病院の購買部にあったそれは布製で、底はゴムでできており、甲を押さえるゴムの入った帯がついていた。
 父はその後奇跡的に、歩行器を使ってトイレにいけるまでに回復した。感心したのはベッドから出るとき、まだ麻痺の残る素足のまま爪先を入れ引っ掛けるようにしてその靴を履けるし、脱ぐ時にかかとを踏んでも復元するように作られていることである。
 父が現在お世話になっている老人保健施設でも、多くの老人がその靴を履いている。筋肉の緊張と弛緩の連続の美しさ、怒りにも似た手足の動きで空間を切り裂き、この世に重力があることを忘れさせるかのようなシルヴィ・ギエムのバレエが人間の動きの極限を示しているのなら、歩行器にすがり、体を左右に揺らし、麻痺の残る脚を運んで行く老人の姿もまた極限を示している。その足先を包むやさしい靴をバレエシューズと名づけた人の願いを思う。

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