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今という時間

今という時間 - [120]

「地域社会の重要性」
李 青(り せい)

 近頃、講義しにくい。どんな話題をもちかけても、無関心・無反応の学生が増えた。どうも気になる。しかし、このような学生は放課後、キャンパスの隅で携帯電話で延々と話をする。その表情は実に生き生きとしている。自分のプライベートの時間になると、こんなにも違うのだろうか。
 今の大学生たちは日本がもっとも豊かな時代に生まれ、育った。ここ20年ほどの間に、我々の時代と彼らの子供時代の社会環境は大きく様変わりしてしまっている。生活スタイルでさえ欧米を模倣し、ほとんどの子供は幼少から個室を与えられ、未熟ながら早くも個人の世界に投げ込まれてしまった。気がつくと、完全に自分の世界に閉じこもり、周囲との関係をもつのが苦手になってしまった。「人間嫌い」の若者の増加は地域社会のあり方と関係なくはないだろうか。
 中国に居民委員会という町内会組織がある。地域の生活・治安ばかりでなく、家庭内トラブルの調停や小学生の面 倒まで見ている。このような市民生活に深く関わりをもつ地域社会の活動は今の日本では稀になってしまった。「余計なお節介」とか「うっとうしい」と思われるに違いない。しかし、社会活動を通 じて、多くの人間に触れあい、子供たちは喜びを感じ、自然に社会性を身につけていく。教育の場は、家庭や学校ばかりではないのだ。にぎやかで活気ある地域社会の復活がのぞまれる。

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