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今という時間

今という時間 - [117]

「中国の一人っ子 日本の少子化」
李 青(り せい)

 先日、近況を尋ねようと北京の親友に電話をした。話題は自然と子供の話が中心になった。彼女は昨年から4歳の息子を寄宿制の幼稚園にあずけたという。驚いた私に彼女は懸命に理由を説明した。
 中国は70年代末から一人っ子政策の実施を始めた。わが子に質の高い教育をと願う親心をとらえ、近年、数多くの高級私立幼稚園が誕生した。この種の幼稚園は、かなり高額らしい。庶民の家庭ではとうてい無理だ。週末になると、お迎えの高級車がずらりと並ぶ。だから「貴族幼稚園」ともいわれている。
 この特別教育は、はたして良い結果がえられるのだろうか。残念ながら、その子供たちは普通 の家庭の子供を蔑視しがちだ。親が金持ちだから高級車を持ち、良い学校に入れる。子供心に優越感をおぼえる。こうした歪んだ競争社会に、ブレーキのかかる気配は一向に見られない。日本でも住宅事情や女性の社会進出、教育費の高騰などの理由で少子化問題がとりざたされている。少ない子供により質の高い教育を受けさせるために、親も子も必死だ。お受験の激しさのあまり、時には命まで奪われてしまう。まさに悲劇だ。
 社会の発展には、近代的な知識が必要だ。けれども、明るい社会を築きあげるには、健全な精神の涵養も欠かすことができない。中国も日本も子供の少ない現在だからこそ、知識偏重の教育内容を見直すべきではないだろうか。

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