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今という時間

今という時間 - [051]

「大学と友情?」
鈴木 幹雄(すずき みきお)

 この数年、大学の変貌はめまぐるしい。教員はたいてい、自分の学んだ大学のイメージにたよって仕事をしているものだが、そのイメージが世代によって違っていて、どうやら共通 のイメージが崩れてきているようである。
 幸か不幸か、入学してくる学生諸君が大学によせるイメージは、教育や研究にあまりかかわりがないようである。大学論という講義の参考のために、学生諸君の大学生活に期待することをアンケートすると、答えは「自由にやりたい」、「クラブ活動」、「友だちをつくる」が多い。中学・高校の教育を考えれば、やはりそうかと同情してしまうが、それにしても、「友だち」というものへのこの期待というか憧れのつよさはどうだろうか。
 去年、高校の生徒会執行部を勤めた委員の同期会に出てとても懐かしかった。仕事を離れた仕事以前の付き合い、ただあの時一緒に仕事をしたから、友だちだから会うという満足。それは大学時代の友人には稀な経験である。しかし新大学生たちが友情を求めているということは、大学が職業との関わりなしの、まったく人間同士の友情を育む青春の場になったということだろう。今、大学は、学問の、あるいは職業のための学問の場である前に、人生の出発点となっているのではないか。

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