2013/12/11【学術研究】
2013年度 大谷大学仏教学会公開講演会を開催
2013年12月6日(金)に、花園大学文学部の佐々木閑先生をお招きして、響流館3階のメディアホールにおいて、大谷大学仏教学会の公開講演会が行われました。佐々木先生は、「大乗仏教の起源に関する諸問題」というテーマでご講演くださいました。
講演では、まず大乗仏教の起源の問題に関して、学界に大きな影響を与えた平川彰氏の「在家仏塔起源説」が、それ以前の議論とともに紹介されました。さらに、大乗仏教を在家者だけによる新興仏教運動と見る平川説に対する批判が、1990年ごろから、国内外の複数の研究者によってなされるようになってきたことが示されました。そのうえで、佐々木先生は、大乗仏教というのは、出家者もが関係しながら多元的に発生した仏教運動であり、その歴史的解明のためには、これまで研究されてきた文献資料の再検討や、大乗仏教が興ったのと同時代の部派仏教文献の調査、さらには考古学的アプローチからの考察など、多様な角度からの研究が必要であると述べておられました。
全体としては、大乗仏教の起源に関するこれまでの数多くの研究内容やその問題点が、非常にコンパクトにまとめており、一般の方にとっても大変わかりやすく興味深い講演会でした。実際、メディアホールもほぼいっぱいになるほどの聴衆が参加して下さり、盛況のうちに講演会を終えることができました。