2011/10/08【学術研究】
大谷大学西洋哲学・倫理学会公開講演会を開催
9月29日(木)、大谷大学西洋哲学・倫理学会主催による公開講演会が本学講堂において開催されました。 今回は、本年9月より本学文学部哲学科教授に就任された鷲田清一氏(前大阪大学総長)を講師として 「震災と哲学」という講題でお話しいただきました。 学外から多数の聴講者が来場され、学内からも哲学科はもとよりそれ以外の教職員・学生も参加して講堂はほぼ満席となり、鷲田氏のお話に聴き入りました。
まず、震災と原発事故によって、これまで見えているのに見ようとしてこなかったことが顕わにされたこと、とくに、科学技術への依存や生活の外部サービス化などによる人間の無能力化の進行、また、専門化・分業化の進展によって「全体を見渡す」視点が不在となっている現状などについて、事例をあげてわかりやすく話されました。そして、人文系の学問、なかでも哲学こそ、見ようとしてこなかった問題を見据え、取り組んでいかなければならないが、その役割は、問題のおこっている場所に寄り添い「ミネルヴァの梟」として寝ずの見張り番をすることであり、リーダーではなくフォロワーとしてのあり方であることを強調されました。これまで鷲田氏が取り組んでこられた臨床哲学への誘(いざな)いともいえるお話となり、本学で学ぶ学生に大きな励ましをいただきました。
【西洋哲学・倫理学会】