2010/07/02【学術研究】
2010年度 大谷大学西洋哲学・倫理学会春季公開講演会を開催
西洋哲学・倫理学会主催による春季公開講演会が、尋源館講堂において開催されました。講師として、京都大学大学院文学研究科の伊藤邦武教授をお招きし、「ジェイムズの純粋経験の哲学」というテーマでご講演いただきました。
ウィリアム・ジェイムズの「純粋経験の哲学(「根本的経験論」とも呼ばれる)」について、その成立に至る筋道と意義をわかりやすくお話しされました。とくに、心理学研究から、宗教経験の研究を経て、プラグマティズムに至る哲学的探求の深まりの中で、「純粋経験」の概念にたどりつき、さらにそれが晩年の多元的宇宙論へとつながっていくという、多面的なジェイムズの仕事の内に流れる一貫した問題意識をあきらかされました。また、同時代のパース、ベルクソン、フッサール、ラッセルなどとの影響関係、さらに、ジェイムズやパース、ロイスらの拠点となった『モニスト』という哲学誌の編集に関わっていた鈴木大拙がジェイムズと西田幾多郎をリアル・タイムで結びつけていたことにも言及され、聴衆の関心を引きました。
様々な観点からの質問にも丁寧かつ明晰にお答えいただき、たいへん有意義な会となりました。
【西洋哲学・倫理学会】