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そして、教壇へ。~彼らと教職支援センターの日々~

先生になるにはどうすればいいですか?2018

(11) 黒川 佳那

やっぱり、あきらめられなくて。山ほどの反省点を現場経験で乗り越えて、教壇へ。(黒川 佳那)[2017年3月 教育・心理学科卒/2018年度 滋賀県教育委員会採用(小学校)]

「小中連携について、あなたはどう考えますか」
面接官にそう問われて、黒川は答えに詰まった。「え、と…連携、した方がいいですよね」何が問われているかもよく分からず、とんちんかんなことを話してしまった。「もういいです、次の人」
あ、終わった、と思った。2016年、現役で受験した滋賀県教育委員会の採用試験でのことだ。不意打ちに弱い。準備不足、経験不足、反省すべきことは山ほどあるのだ、きっと。だが、いまここで、何をどう始めたらいいのか分からない。教職をあきらめる? いっそ大学院に行く? 教職支援センターに駆け込んで、アドバイザーの先生に相談した。
「あきらめられる?なりたいんでしょ、教師に。みんな知ってますよ、あなたがどれほど強い思いを持っているか」そう言われて、黒川は改めてこれまでのことを振り返った。

“恋バナ”じゃなく“教師バナ” そんな仲間たちといっしょに。

黒川の父は、中学校の教師だ。部活の顧問もしていたので、毎日帰りが遅く、土日に出勤することもしばしばだった。ハードな仕事だということは、子ども心に感じていた。それなのに、黒川は大学進学に際して、教育・心理学科を選んだ。
「やめとけ」と、父は言った。
「いや、もう決めたし。やるし」と娘は答えた。
父がそのハードな仕事を苦にしていないこと、強いやりがいを感じていること、土日に学校へ行くときも「また仕事だよぉ」と言いながら、実はニコニコしていることを知っていたからだ。
大学に入ると、黒川の周りにはやる気満々の仲間が大勢いた。こんな先生になりたい、早く現場を知りたい、私なら困ってる子をこうやって助ける…。泊まりがけで遊びに行ったりすると、夜、布団の上に座り込んでいつまでもそんな話が続く。
「どうかしてますよね、私たち。そういうときは“恋バナ”じゃないですか、普通。でも、そんなヤツらなんです」
そんなヤツらに半ば巻き込まれながら、黒川の“本気”も加速していった。

放課後の教室。子どもたち1人ひとりの顔を思い浮かべながら。

学級経営の大事なことは、“教室の後ろからの視点”で学んだ。

自分のモチベーションを再確認して、黒川は講師登録をした。何よりも経験が必要だと思ったからだ。講師としての勤務校は、高島市立青柳小学校。そこの特別支援学級で、ただ1人の児童の担任をしている。その子が2年生のクラスに入って授業を受けているときは、教室の後ろに立って見守る。
「教室の前と後ろとでは、まるで違った景色が見えます。授業の流れに乗れている子、乗れていない子。前のめりになっている子、遅れながら必死について行ってる子、そして、脇道にそれてしまっている子。その全体をコントロールする先生の手腕。とても勉強になりました」
講師の仕事をしていると、現役のときのように採用試験のための勉強に費やす時間はとれない。だが、1度試験を経験していることと、学校現場で実際に働いていることは自信につながった。直前には教職支援センターに行き、面接を見てもらった。さらに、教職アドバイザーの美濃部先生からは、「うちで面接練習、やる?」とありがたいお言葉が。美濃部先生の家は、勤務校から近いお寺。その本堂で面接練習をしてもらった。
「黒川くん、いい現場に入ったんやね。これなら大丈夫」先生のお墨付きをもらって、さらに自信をもって採用試験に臨むことができた。
2018年度、滋賀県教育委員会採用試験合格。教職を目指すと宣言したとき賛成しなかった父は、現役の受験のときまで「やめとけ」と言い続けていた。その父に、合格を告げた。
「おめでとう」
「…え、そんだけ?」
来年、父は定年を迎えるという。滋賀県は、1人のベテラン教師を送り出し、やる気に満ちた1人の新人教師を迎え入れることになる。

採用試験に向けて、現役のときにまとめたノート

講師の仕事に就いてからは、思うように勉強の時間がとれなかった。このノートは心の支えにも。

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