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そして、教壇へ。~彼らと教職支援センターの日々~

先生になるにはどうすればいいですか?2016

(3) 楢原 見正さん

子どもたちも、教師自身も。みんながお互いの力を借りて育っていく。(楢原 見正)[2016年3月 教育・心理学科卒/2016年度 大分県教育委員会採用(小学校)]

その小学校は、1学年が5〜6人。休み時間には1年生から6年生まで、一緒になって遊ぶ。ケータイやゲームが話題になることはほとんど無い。同学年で競い合う経験が無いのはいかがなものか、と心配される向きもあるが、遊びの中で、高学年の子どもは自然に低学年の面倒を見るようになる。子どもたちは、競い合いの中で得られがたい経験を積んでいるのだ。楢原が教育実習を経験したのは、そんな小学校だった。
「僕自身が大分の田舎で育ったので、あの小学校の空気はとても肌になじみました。小学校教師を目指す僕の選択は間違っていなかったなぁ、と…」

教科だけでなく、学校生活のすべてに寄り添う教師。

楢原の父は大分の寺の住職で、高校教師でもあった。自分の後を継いでほしいという思いもあったのだろう、教員になってほしいと強く願っていた。
住職として地域の人々と深い関わりを持ちつつ、教師としてその地域の子どもたちの成長を支える。そのスタイルは楢原にとっても1つの理想であり、寺の仕事のハイシーズンとも言えるお盆は大学の夏休みでもあるので、実家の手伝いをして過ごしたりもしたし、実家の寺を担うために大谷派教師資格も取得した。
だが、楢原の1番の目標は、僧侶でもなく高校教師でもなく、小学校の先生だ。教科を教えるだけでなく、学校生活のすべてに渡って子どもたちと関わり続ける小学校教師の仕事に深くやりがいを感じているからだ。「そうか。お前が自分でそう決めたなら、全力でやれ」。父は多くを語らなかった。ただ、「公立の採用試験は甘くないぞ」と釘を刺した。

おおたにキッズキャンパスでも貴重な体験ができた

追い込まれた中で実感した、センターのサポート力。

確かに甘くはなかった。大分県の採用試験は、3次まである。とりあえず1次の筆記試験に通らないことには話にならないので、過去問を中心に徹底的に勉強した。大谷大学は京都の大学であり、教職支援センターに集まるのも、関西圏の採用情報が中心になる。これは1人で頑張るしかないか、と思っていたら、同じように遠隔地、北海道と長崎から来ている友だちと一緒に勉強することができた。楢原のアパートは、合宿所のような状態になった。猛勉強の甲斐あって1次合格。だが、2次は実技、3次は面接。これは、誰かに助けてもらわなければ自分たちだけではどうしようもない。
「行ってみる?」
「今からでも助けてもらえますか」、と教職支援センターに出かけた。「それじゃ今から特訓ね」、と苦手なピアノを市川先生がマンツーマンで指導してくれた。2週間の集中練習で、課題に選んだ曲だけをなんとかマスターした。
この年から大分県には英会話の試験が導入された。過去の情報が一切無いので先生に相談したら、大谷大学の卒業生で高校の英語教師をしている人を紹介してくれて、これも短期集中トレーニング。面接練習も、センターに常駐している先生が交代で相手をしてくれた。集団面接については、他の教師志望者たちは2次までで、もう試験が終わって羽を伸ばしている最中にも関わらず、3次試験に挑む楢原に付き合ってくれた。
「自分1人で頑張るというのは、教員採用試験ではやっぱり無理。みんなで頑張る、というのが大谷大学の教育・心理学科だと思います」
「自分で決めたことは全力でやれ」、という父の言葉を思い出す。全力というのは、自分の力だけでなく多くの人の力も借りた「全ての力」だと思う。みんなで成長していくんだよな…。教育実習で出会った、あの小さな田舎の学校の子どもたち。1人ひとりの笑顔が、楢原の脳裏に浮かんだ。

市川先生の指導は厳しくも温かい

教育実習でもらったメッセージ

実習先の全校児童からもらった手作りのメッセージ。見ていると子どもたち1人ひとりの顔が思い浮かんでくる。楽しかった思い出だ。

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