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そして、教壇へ。~彼らと教職支援センターの日々~

先生になるにはどうすればいいですか?2014

(7) 神馬 佑季さん

先生、絵、描いて!リクエストに応えて心が通った。(神馬 佑季)[2014年3月 教育・心理学科卒/2014年度京都市教育委員会採用(小学校)]

大学2年のとき、体調不良だった。1年目には幼稚園を中心にボランティアに行き、2年目からはいよいよ本命の小学校へ、と意気込んでいた矢先のことだった。座っていることもままならない状態が半年以上も続いた。体育の授業はできないし、子どもたちを抱き上げることもできない体では、ボランティアには行けない。その間、友人たちはそれぞれ各地の小学校で経験を積み、その経験をもとに大学での授業も進んでいった。

神馬

「私にはみんなのように話す体験がない…。とても焦りました。でも、教職支援センターの方やアドバイザーの先生に、今のうちにこれ勉強しとくといいよ、と資料をいただいたりしたので、モチベーションを維持することができました。友だちのボランティア体験談を聞くのも、私だったらどうするかな、と想像を膨らませることで、一種のイメージトレーニングになったと思います」
そして3年目。体調も回復し、神馬の“やる気”は最高潮に達していたのである。

現役で合格?そんなの奇跡だよ!

教育実習では6年生のクラスを受け持った。できるだけ多くの子どもと関わりたい、と思っていた彼女には、そのきっかけ作りのための秘策があった。
教育実習生は首から名札を提げるのが決まりだ。その名札の裏に、彼女は得意の絵を描いた。名札は勝手に裏返るので、そのとき絵が子どもたちの目に触れる。「先生、なに、それ?」「何やと思う?じつは先生は絵が得意やねん」それがきっかけで、「じゃあワンピース描ける?」「ウチの顔描いて!」と話が広がっていった。児童が提出した宿題には、普通はコメントを書いて判を押すのだが、彼女はハンコの代わりに小さなカットを描いた。実習最終日、指導の先生の許しを得て、彼女は放課後残っている子どもたちと共に、いっしょに絵を描いて長い時間を過ごした。
実習やボランティアでは、子どもたちと楽しく交流でき、授業もスムーズに進んだのだが、彼女は模擬授業が苦手だった。「なんか、普段のユキと違うよ」「冷静すぎる」「声が届いてこないよ」…友人たちの指摘はもっともで、彼女自身がそのぎこちなさを十分に自覚している。でも、直せない。思いあまってゼミの先生に相談したのは、採用試験の1週間前だった。「君、1年目で受かろうと思ってる?」「…はい、できれば…」「あのね、受かったら奇跡だから。それくらいのつもりで、今できることをそのまんまやりなさい」その言葉が緊張をほぐしてくれた。試験ではありのままの自分を表現して、“奇跡”は起きた。

教材も手作りで工夫を凝らす

子どもたちが変わろうとする、その瞬間を目に焼き付けたい。

教職支援センターの紹介で京都市が主催する教師塾に参加し、2週間、小学1年生のクラスを担当したときのこと。校外学習で登山に行き、その感想を作文に書くのだが、なんと3ページも書いてきた児童がいた。
「すごいと思いませんか?何ヵ月か前に、初めて字を書けるようになった児童なんですよ。子どもが成長するときって、ほんとに早い。そのタイミングを見逃さずに、そこに関わり、助けていきたいと思います。反対に、問題が起きるときも、その兆候を早くに見つけてあげたい」
教育現場には、見ようとしなければ見えないことがたくさんある。教壇に立つからには、その「眼」を持たなければならないと思う。「採用試験なんて、教師のスタートラインのそのまた手前なんだから。厳しいのはこれから。がんばれよ」教職アドバイザーからもらったはなむけの言葉が、彼女の背中に芯を入れる。

名札の裏に入れていた絵

子どものリクエストや行事に合わせて描いたキャラクターやオリジナルの絵。子どもたちの喜ぶ顔を想像しながら、毎週絵を変えていき、子ども達との距離感がぐっと縮まった。

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