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人間・清沢満之シリーズ

人間・清沢満之シリーズ - [10]

責任

「責任」
村山 保史(准教授 哲学)

 清沢を代表とする浩々洞の活動は「精神主義運動」と呼ばれる多方面への影響力になっていく。

 『精神界』には、曽我量深(そがりょうじん)や金子大榮(かねこだいえい)といった学僧のみならず、精神主義に共感をもった高浜虚子(たかはまきょし)や倉田百三(くらたひゃくぞう)も登場している。夏目漱石の著作には精神主義から得たであろう表現がみえる。哲学方面からは西田幾多郞(にしだきたろう)や朝永三十郎(ともながさんじゅうろう)らが寄稿し、西田が寄せた論文は後に『善の研究』に再録されている。

 精神主義に異を唱える者も少なくなかった。とりわけ鋭利に駁撃したのは、浩々洞と並んで影響力のあった仏教集団、仏教清徒同志会のメンバーである。「健全なる信仰」による「社会の根本的改善」をめざし、社会倫理に近い位置から宗教をみた彼らの批判の要点は精神主義における社会性の欠如であった。この欠如が社会問題に対する無関心・無責任さとなり、無責任さに由来する反社会的な発言になるとするのである。

 生きる力を与える大きなものへの揺らぐことのない思いが信仰(信念)であるという一般的な言い方ができるなら、精神主義がそうした信仰の条件として社会改善を数えることはない。それは信仰の条件としてではなく、倫理的行為としてなされることである。むしろ、善行を完全に行うことはできないような自己の省察(内観<ないかん>)を信仰に至る要件とするのが精神主義の立場であった。清沢は生涯、自らの義務を果たすべく努めたが、人にはそれぞれ事情があって善を選びとれないこともあろう。思いがけなく悪をおかすこともあろう。このような人びとであればもはや救われる余地はないのか。ある、と清沢は答えるのである。

 もちろん、宗教的には救われうる場合であっても倫理的な悪が消え去ることはない。ましてや、救済を口実として悪行や放埒を勧めるような反社会的な発言があってはならないが、この点において精神主義には不徹底があった。『精神界』の記事には、ときに殺生や窃盗等を許すかのような表現が使用されたのである。

 精神主義は浩々洞によって育まれた共同体の思想であった。精神主義にこのような問題があるなら、浩々洞の代表ないし創設者としての清沢は一定の責任を免れない。

(『文藝春秋』2014年2月号)

※2月に発売される『文藝春秋』2014年3月号のタイトルは「愚直」です。

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