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Home > 読むページ > 人間・清沢満之シリーズ > 恩義

人間・清沢満之シリーズ

人間・清沢満之シリーズ - [03]

恩義

「恩義」
村山 保史(准教授 哲学)

 育英教校の生徒には浄土三部経と四書の素読が求められた。すでに儒教の四書を読み、入校前に得度を経ていた清沢であったが、世襲寺院出身の生徒に比べると、三部経の素読は十分でなかった。休み時間になっても素読を続けるその姿から、他の生徒たちは「Bishop」(高位聖職者)と呼んだという。

 学業に関して言えば、清沢は〝首席の人″である。大学院まで続く学生時代をほぼ首席で通した彼からすれば、教校入校当初の経典素読は、同学に遅れを覚えるまれな機会であったろう。それが懸命な姿になった理由のひとつなのだが、それを同級生たちがキリスト教の聖職者の位階で表現したことは興味深い。

 そこには、新来の文化に対する若者の先取の気鋭とともに、寺院外に生まれながらも僧侶となろうとする、自分たちとは別の価値観に対する尊敬と驚きが表現されている。「Bishop」と清沢が呼ばれた同時期には、生まれついた寺格の高さのみを誇った人物が「Pontiff」(教皇)と呼ばれて対比されていたと伝えられるが、そうした人物にとって清沢は異質であった。ここには、清沢と彼を取り巻く生徒の一部との微妙な温度差も生じているわけである。

 ほどなく経典素読にも慣れ、18歳になった清沢は本願寺の国内留学生に選ばれている。東京には、同じ留学生として一足先に学ぶ井上円了(いのうええんりょう)がいた。「万事井上円了氏を手本とせよ」の命を受け、井上の助言によって東京大学の予備門(後の第一高等学校、東京大学教養学部)第二級に編入し、1883年9月には文学部哲学科に入学している。

 宗門には宗教教団としての狙いがあったにせよ、士族の家に生まれた者に学ぶ機会を与えたことは、本来なら無縁であるはずの門外漢を受け入れたことを意味する。自分を関係のなかに入れて生かしたものへの感謝の念は総じて、清沢の場合、恩義の意識となっている。

 こうした意識は、近世の武士的素養に端を発しつつも、むしろ維新後の人や社会、それらを超えたものとのかかわりのなかで徐々に縁取(ふちど)られ、明確な輪郭を得たものである。それはやがて、清沢の行動を後押しするものとなっていく。

(『文藝春秋』2013年7月号)

※7月に発売される『文藝春秋』2013年8月号のタイトルは「順風満帆」です。

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