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今という時間

今という時間 - [184]

「カタコト英語からの脱皮」
村瀬 順子(むらせ よりこ)

 この夏、イギリスの大学の語学研修に参加した3人の学生たちは夏休みが終わると早速、研究室にやってきて、向こうでの体験談に花を咲かせ始めた。中国、韓国、スペイン、ロシアなど様々な国からやってきた学生たちと共に学び寮で一緒に生活するという、彼らにとってはほとんど初めての異文化交流は、大きなインパクトを与えたようだ。決して英語が得意なわけではない彼らが、果たして1ヶ月無事に過ごせるだろうかと訝っていたこちらの心配をよそに、彼らは週21時間の英語づくめの授業をこなし、すべての行事にも参加していた。どの写真を見てもそこには満面の笑みがあり、彼らがいかにうまく周囲に溶け込んでいたかがよくわかる。
 しかし、彼らのイギリス体験は、ただ楽しかったというだけではない。カタコトの英語でも通じたことの喜びと同時に、カタコトのレベルで通じた気になってしまうことへの不安もまた感じていたようだ。「カタコトの英語だけで満足してしまうと正確な英語がしゃべれなくなってしまう。だから、しっかり勉強しなさい」と現地の先生から注意されたと言う。正に正鵠を射た忠告である。
 彼らにとっての次のステップは、カタコト英語から脱皮し、英語を介して、他国の人々とどこまで深く正確に理解し合えるかという問題に取り組むことだろう。そのことに気づいた彼らは今、さらなる長期の留学を考えているらしい。

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