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今という時間

今という時間 - [072]

「そうかもしれない」
小谷 信千代(おだに のぶちよ)

 保健所の植え込みの中でふるえてないていた「しろ」を拾ってきてからもう11年になる。
 そのころ私は気分の落ち込むことの多い日々をおくっていた。高校と中学に通 っていた息子と娘が、自分たちの生活に意味を見いだせず、生きてゆく気力を失いかけているように見えることが、私の心を重くしていた。その上、私は健康も害していた。八方ふさがりの思いのする日がよくあった。
 その犬は家に連れて帰ってきてもふるえが止まらなかった。手放すと物かげに隠れてしまって出てこようとしなかった。彼の原因不明のおびえは容易になおらず、道に連れ出すと座りこんで動こうとしなかった。成犬になっても、散歩のつど自転車の買い物かごに載せて、ひと気のない近くの山に連れて行かねばならなかった。やっかいなものをもう一つ抱え込んでしまったように思われた。
 そのようにして一年半ほど過ぎた頃、自動車におびえつつもようやく普通 に道が歩けるようになった。今では、まともな犬に育てることをあきらめかけていたことが嘘のように思われる。
 私は散歩の折に「しろ、いろいろあるよな。でも、ぼちぼちやればなんとかなるもんだよな」と時々語りかける。彼はちらっとふり返るが、私の思いなぞどこふく風といった顔で道端の臭いをかぐ。草にむかって用を足している彼を待ちつつ一瞬不思議な安堵感を覚える。私が彼に育てられたのかもしれない。

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