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今という時間

今という時間 - [263]

「ヨガに思う」
浦山 あゆみ(うらやま あゆみ)

 運動不足解消のためヨガを始めることにした。色々調べてみると、最近特に若い女性の間でヨガブームらしい。ヴィトンのヨガマットまで売られている。近所のスポーツクラブでもヨガ教室を設けているが、全て平日開講。私の場合、平日に定期的に通うのは難しいから、家でDVDを見ながらやる自己流に決めた。しかも出来るポーズだけやろうという究極の怠けヨガだ。
 解説によると、ヨガは始める前に呼吸法や準備運動をマスターする必要があるらしい。「では呼吸法です。丹田を意識しながらハイ吸って~吐いて~…」DVDを見た途端、急に懐かしくなった。お!これは大学の授業で教わった中国の内丹術(不老不死を目指して鍛錬する道教の修行法)ではないか。若かりし学生時代を思い起こし、しばし懐古する。そんな私をよそにDVDはどんどん進む。「次は準備運動スワイショウです」。ん?これも確か…そうだ、気功だ。太極拳の準備体操、漢字で書けば“手”。昼休みに中庭で先生と一緒にやったなぁ。
 ここでDVDを停止し、しばし考え込む。大学とはこういうものではないか。そこで得た知識は必ずしも全て実用的というわけではない。しかし10年20年を経て何気ない日常にふと蘇り活きてくる。近頃は社会の即戦力となる教育が求められているが、大輪の花を咲かせるには太い根っこが必要。一見無駄に見える知識が長い人生の太い根っことなる、と社会は鷹揚に構えられないものか。
 さてこんな私のヨガ。どうやら効果はすぐには現れそうにもない。

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