幅広く社会のことを学びたいと思って入学してきた鈴木さんは、コロナ禍で様々な制限を受けながらも、積極的に大学生活を楽しもうと活動しています。こんな時期だからと、できるだけ他の学生と関われるように配慮してくれる先生の授業は、自分の頭できちんと考えなければいけないことも多く、とても刺激になっています。目の前にある課題に対して社会学的にアプローチしていく方法は面白く、今後の勉強にも知的好奇心をそそられています。

04 仮説を検討して予測を立てたら現実になった

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田中:「社会学演習Ⅰ」の発表内容についてだけど、前期ではファストフード店について取り上げたでしょ。あのとき、諸々の条件や理由を考察して、「ひょっとしたらこの大学の近くにもファストフード店がオープンするかもしれないね」っていう話をしたよね。そしたら後期になって、この12月に「北大路ビブレ(※現イオンモール北大路)」に本当にマクドナルドができた。「予言か」とかいろいろ言われたけど(笑)、社会学ってああやって課題や仮説を設定して、いろいろ考えていくものなんですよね。社会学に対してはどんなイメージがあった?
 
鈴木:そうですね……。人には好き嫌いがあるので、何かを商品化する際にはいろんな意見が出ると思うんですけど、それに対して反論をしたうえで商品を出して、でもクレームが来て、最初に出したものに対してさらにどう対応するのかっていうところが、社会と関わってるのかと思います。
田中:商品はただ作るとか売れればいいというわけではなくて、消費者行動論とか経営学にもつながってくるんだけど、どういうターゲットにどういうものが求められていて、それにこういう商品を当ててみたらどうかっていう仮説が出て、こういう価格設定でどうか、ってやっていくんですよね。
 
鈴木:「子どもが来るならハッピーセットを作ろう」とかってことですね。
 
田中:そうそう。経営学的なものだけじゃなくて、売り方っていうのは社会学にも関わってくるし、『マクドナルド化する社会』の中でも言われてるけど、ファストフードの店ではわざと硬い椅子を使ってるとかね。
鈴木:ああ、長居させないで、お客さんの回転率を上げるためですね。
 
田中:そう。つまり商品だけじゃなくて環境も含めて考えなきゃいけないから、ファストフード店というのは、結構学ぶところがあるんですよ。マスコットキャラクターとかについても考えることができるよね。だから「社会学演習Ⅰ」では、発表のコンテンツについても考えればどんどん出てくるし、グループで協力し合ってやって欲しかったというところを重視して、あの内容でやったんですよ。興味を持ってやってくれたようで良かったです。他に面白かった授業は?
 
鈴木:今日受けた「現代文化論」っていう授業は面白かったです。面白い、っていうとちょっと違うんですけど、クジラやイルカを掴まえて漁をして生活してきた人たちがいる一方で、アメリカのイルカとかクジラの保護団体は、イルカやクジラは動物だけど人間が食べるために生まれてきたわけではないって言っていたのが印象的でした。
 
漁をする人たちが生活するためにクジラとかを食べるってこともあって、血が流れるような無残な映像シーンも見たんですけど、そういう漁民の文化と、アメリカ人から見た文化があって、それぞれの文化があるんで分かり合えないっていう部分もあって、それに対してどうしていくのかっていうことについての授業だったんですけど、結構考えさせられましたね。

PROFILEプロフィール

  • 田中 正隆

    社会学部 現代社会学科 准教授



    2002年 一橋大学大学院社会学研究科 博士学位(社会学)取得修了、2003年 国士舘大学政経学部非常勤講師、2005年 高千穂大学教養部助教授、2007年 高千穂大学人間科学部准教授 を経て、2017年 大谷大学文学部社会学科准教授。
    アフリカはベナンという国で人類学的調査を始め、地域社会のミクロな視点から現代西アフリカのマクロな政治、経済変動をみすえる研究へと広げてきた。親族にもとづく社会構造と文化要素である在来信仰ブードゥの関連を調べながら、そこにおけるモノ=物質の位置づけに焦点をあてた。それは、いま社会科学で議論をよんでいるモダニティ、グロバリゼーション、市民社会、デモクラシーといった諸概念とも深く関わっており、私の調査地での具体的な事例にてらしてこれらの現象を再検討している。



  • 大学のホームページやパンフレットで情報を細かく確認し、オープンキャンパスにも参加。大谷大学ならしっかり学べそうだと思い、受験した。現代社会学科を選んだのは、幅広く社会のことを学びたいと思ったため。
    学外サークルに参加したりアルバイトをしたりと、積極的に大学生活を楽しむ一方で、授業では自分の頭できちんと考えなければいけないことも多く、とても刺激になっている。目の前にある課題に対して社会学的にアプローチしていく方法は面白く、今後の勉強にも知的好奇心をそそられている。