小さな頃から実家のお寺を継ぎたいと思ってきた高嶋さんは、その夢を叶えるべく真宗学科に入学を果たしました。周りにはお寺出身の人も多くて楽しく過ごせる半面、クラスメイトの多くが元々お寺を継ぐことは考えていなかったということを知り、自分との違いに驚きます。
いずれお寺を継ぐ日のために、寮の仲間に助けられながら、親鸞聖人や法然上人についてじっくり学び、研鑽を積んでいます。

04 親鸞聖人の教えはどうやって伝えられたか

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本明:大学の授業で興味があるのは?
 
高嶋:今は「部落差別と大谷派教団」っていうのが興味深いです。差別のことって、小中高ではあまりやってなかったので。そういう専門的なことを深く学べる授業なので、毎回楽しいです。
 
本明:そういう興味があるものが見つかると勉強の視野が広がっていくからいいね。大学では親鸞聖人が書いたものとか親鸞聖人の生涯についてを勉強してるけど、実際に真宗学の勉強をして感じることは?
 
高嶋:今までお父さんとかの法話くらいでしか真宗学を知ることがなかったし、高校の授業でも親鸞聖人っていう名前だけしか出てこなかったから、浄土真宗って「みんな平等」って考えかなって思ってたんですけど、実際に学ぶと、親鸞聖人は平等を推進してたけど、時代が変わっていくと、親鸞聖人の精神が捻じ曲げられたりしてるのが意外でした。浄土真宗は一貫して親鸞聖人の教えを伝えてってるのかなって思ってたんですけど、意外と人間だなって思うところが多くて。宗教でも自分の欲で解釈を変えたりすることもあるんやなって。
 
本明:それは重要な気づきだね。親鸞聖人の思想が大事だとは思ってても、やっぱり自分の生活であったり立場を守るためには、そういうことも起こらないとは限らないからね。例えば戦争の時代では平和ということが言えなかったり、階級の差別があった時代では、平等と言うと逆に罰せられてしまったりとかね。そういう中でも親鸞聖人の精神を広めようとした人たちもいたから、そういう人たちの苦悩を感じることはすごく大事だね。逆に親鸞聖人ほど、社会の全ての者に対して平等の救いを一貫して説き続けた人もいないから、だから親鸞聖人の言葉はみんなに強く響くってことがあるのかもしれないね。
この4年間で、本当に親鸞聖人が伝えたかった平等思想や共に救われていく道について、深く学んでいただきたいなと思います。ともすると、お寺を立派なものにしようとすればするほど、親鸞聖人の信念と自分がお寺をやっていく方向性とが違っていってしまうことがあるから、そういうところもしっかりと学んでいかないとね。親鸞聖人に関する本とか先生の講義録とか、真宗学関連で興味のある本を読んだりしてる?
 
高嶋:いえ、まだです。読書自体は好きなので結構本を読むことはあるんですけど、自ら真宗学の本を読むことはまだないですね。
 
本明:授業もあるからね。そりゃそうですね。
 
高嶋:読みたい気持ちはあるんですけど、知らない単語が多すぎて、どの本を選んでいいかイマイチ分からなくて。
 
本明:わかりやすく書いてある本もあって、あまり難しい言葉を使わない本もあるから、また紹介しますね。

PROFILEプロフィール

  • 本明 義樹

    文学部 真宗学科 講師



    1972年京都府生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。大谷大学任期制助手、大谷大学聖教編纂室嘱託研究員、真宗大谷派教学研究所研究員、真宗大谷派聖教編纂室主任編纂研究員を経て、2021年大谷大学文学部着任。
    親鸞の思想形成の解明に取り組んでいる。特に親鸞が曇鸞浄土教をどのように受容し展開したのかを確かめるため、親鸞加点本や『教行信証』に引用される『浄土論註』の文を精読している。また『教行信証』の自筆本である「坂東本」を書誌的な視点からもアプローチし、最晩年に至るまでの思想深化の意義を明らかにしたいと考えている。



  • 実家のお寺を継ぐことが夢で、中学生の頃には大谷大学を受験することを決めていた。真宗学科はお寺出身の人も多いため楽しく過ごせる一方で、お寺を継ぐことは考えていなかったクラスメイトも多く、自分との違いに驚いた。
    入学する前は少し不安を抱いていた寮生活は、他の寮生ともすぐに仲良くなり、京都観光へ出かけたりする間柄。美味しいご飯に有り難さを感じながら、日々充実した大学生活を送っている。いずれお寺を継ぐ日のために、親鸞聖人や法然上人についてじっくり学び、研鑽を積んでいる。