好きなことに全力で向き合う松田さんは、今は韓国に魅力を感じています。文化から始まった興味も、歴史や政治にまで関心が広がるようになりました。留学を前に自分を奮い立たせて、できる限りの準備をしていこうと考えています。応援してくれる友達や先輩に支えられ、留学経験者である先生の「自分で自分を押してやることが大事」というアドバイスのもと、いろんなものを見て来ようと張り切っています。

05 ‏表層だけではなく、歴史と社会の深みに触れる

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喜多:国際学部では、いろんな文化の勉強ができるようにカリキュラムを組んでいるんですけど、大学での学びはどんな感じですか?
 
松田:「国際文化概論」でいろんな国についての授業を受けて、これまでは知らなかった他の国のことを知れたのと、日本や韓国のことも見直せたことはすごく良かったと思います。
 
喜多:他に、受けて良かったなって思う授業はありましたか?
 
松田:喜多先生の授業です。これまで韓国を美術の観点から見たことがなかったので、こういうところからも考えられるんだって思って新鮮でした。
 
喜多:それは良かったです。「現代朝鮮半島事情」は取ってなかったんでしたっけ?
 
松田:取りたかったんですけど、他の必修授業と被ってて。私、歴史とかは苦手なんですけど、張惠英先生の「東アジアの文化」っていう授業で『1987、ある闘いの真実』という映画を観て、韓国の民主化運動にも興味がわいてきたので、「現代朝鮮半島事情」は受けたかったです。
 
喜多:『1987』は普通の劇映画として見てもとても優れた作品だし、メッセージ性も込められていて、なおかつ実話を元にしている民主化闘争の話ですよね。今のきらびやかに見える韓国社会とだいぶ距離があると思うんですけど、どんな感想を持ちましたか?
 
松田:今まで残酷な内容の映画は観たことがなかったので、そういった内容の映画を初めて観て、今まで私が見てきた韓国と全然違う部分だったし、それがちょっとだけ昔の話だってことにすごくびっくりしました。
 
喜多:今の一見のびのびしているように見える韓国社会は、当時の人たちが頑張って勝ち取ったものだっていうことが描かれているんですよね。拷問のシーンは怖かったでしょうが、それ以前に重要な問題提起がされているので、松田さんにとっても見なきゃいけないっていう気持ちになったのかな。授業を通して、何か気になっていることはありますか?
 
松田:韓国の民主化運動などの近現代史を授業で聞いて、今のキラキラした世界だけじゃなくて、それができるまでにはこういうことがあったんだよっていうのを、自分の中で知っておかなきゃいけないなっていうのが、韓国文化を勉強するにあたって重要なのかなって思いました。
 
喜多:近現代史と言うと、どうしても日本との関係は避けられないと思うんですけど、韓国と日本の間には、一方では韓流があって、一方では嫌韓っていうのがありますよね。それに対して何か感じていることは?
 
松田:今までの歴史があるので、政治がこじれてしまうのは仕方ないことなのかなとは思いつつも、文化の面では、交流をし続けてほしいなという気持ちもあります。難しいとは思うんですけど。
 
喜多:留学して見てきたことを、ぜひ周りの人に伝えてほしいと思います。高校生くらいだったら見たくないことには目を背けてても許されるでしょうが、だんだんそういうことにも向き合っていくのかなと思います。
 

PROFILEプロフィール

  • 喜多 恵美子

    国際学部 国際文化学科 教授



    京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。大韓民国弘益大学校大学院美術史学科博士課程修了(論文資格試験合格)人間・環境学修士。2005年、大谷大学文学部国際文化学科着任。
    近代西欧の概念である「美術」が非西欧社会でいかに受容されていったのかについて関心を持っている。一口に受容といっても、ここでは無批判的な追従を意味するのではなく、美術というシステムがいかにして当該社会に有用な形に咀嚼され汲み上げられていったのか、その過程をさしている。方法論としては日本と朝鮮(韓国)における近現代美術の比較分析を行っているが、文化的に似ていると考えられがちな日本と朝鮮(韓国)においてさえ美術に対するアプローチのありかたはかなり異なったものとなっている。そこから翻って日本と朝鮮(韓国)における「美術」や「近代」の意味を浮き彫りにしたいと考えている。



  • 中学生の頃に韓国のアイドルグループの曲を聴いたことがきっかけで、独学で韓国・朝鮮語を学び始めた。以降、韓国のファッションなど文化に興味を持ち、最近は歴史や政治にまで関心が広がるようになった。
    大谷大学に入学し、語学学習支援室(GLOBAL SQUARE)のアシスタントをしながら留学に向けて学びを深めている。20代のうちにいろんな世界を見て、将来は外国と日本をつなぐ役割ができる仕事に就きたいと考えている。