ライブが好きだという東さんは、コロナ禍でオンラインでのライブも体験しましたが、やっぱり生の魅力にはかないません。オンラインと生では何が違うのか、マルチメディアの特性について学ぶ授業を通して考えています。将来についてはまだ検討中ですが、京都にたくさんある有形・無形の文化財を、情報技術によって保護していこうというゼミの取り組みにも興味を持っています。モンゴル語の歌を歌うのが趣味というユニークな先生の指導の下、日々研鑽しています。

07 新しい「情報メディアコース」の展開

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松川:東さんたちの学年は2つのコースに分かれてるんですけど、2022年度からは「情報メディアコース」というのも新設されるんですよ。今までは「地域政策学コース」の中の情報系という位置づけだったんですけど、やはり地域のコミュニティを発展させることをきちんと勉強するには、情報は非常に重要だっていうことで、情報を独立させたんですね。
 
東:どんなことをやるんですか?
 
松川:「情報メディアコース」の中でも「地域の情報化」っていうのがキーワードになっていて、いろんな可能性があるので、赤澤先生と酒井先生と私が担当することになっています。赤澤先生は、コミュニティラジオ局をやったり、地域の情報を活字メディアで発信していく『キタキタ』っていうミニコミ誌を作っていたりしますね。酒井先生はより理系になるんですが、プログラミングなんかをやりながら、地域の街並みを3D化するとかね。そういうバーチャルな中を歩き回りながら、ここにこんなお店がある、っていう再発見をしたりできる仕組みをパソコンの中に作っていくっていうことをやっています。
私のゼミは、その中間くらいですね。もうあと半年で先輩になりますけど、ゼミで後輩と一緒にこんなことをやりたいとか、こんなことを教えていきたいっていうことはありますか?
 
東:えー、まだ全然、私が教えられてる段階なので。
 
松川:まずは自分が基礎をしっかり身につけるということですね。残念ながら「情報メディアコース」は2022年からで、ゼミに分かれるのは2年生からになるんですよ。だからゼミの後輩ができるのはもうしばらく先になりますけど、実はゼミの中で、先輩から後輩に教えていくっていうシステムを作るようにしています。今も「情報アシスタント」っていう立場の4年生がいるでしょ?ちゃんと大学のアルバイトで、仕事としてできるんです。ゼミの中でもそういう仕組みをきちんと作っていきたいと思っています。
 
東:先生はモンゴルのことを研究してるんですよね?だけど情報を教えてるんですか?
松川:もともと私の研究分野は歴史文献学で、漢文とかモンゴル語の史料を読んで、地味に文字だけで研究をしてたんですよ。でも、大阪にある国立民族学博物館に勤務していた時に「マルチメディア民族誌」っていうプロジェクトに属することがあったんですね。その時に、ビデオカメラを持ってモンゴルで撮影して来て、それを編集するっていうことをやったんです。碑文を赤外線で撮影したり、墨書をどんな風にしたら読めるようになるかとか、マルチメディアを使って文化財を読み解いていこうっていう方向で研究してたんですよ。
 
東:モンゴルにはなんで興味を持たれたんですか?
 
松川:昔、テレビで『西遊記』を見てシルクロードに惹かれて、モンゴルのことを勉強しようと思ったんです。それで大学は東京外大のモンゴル語学科に入ったんですよ。でも学部の間は遊んでいたので、きちんと勉強しようと思ったのは大学院に入ってからですね。それでモンゴルに通うようになった頃から、草原のモンゴル人のホスピタリティにやられてね。酒を飲め飲めって言われてもてなされて、そのまま抜けられなくなったっていう感じです。
 
今はコロナで全然モンゴルにも行けなくなってしまって残念だから、カラオケで歌って憂さを晴らしているんですけどね。でも2022年の前期、留学するんですよ。在外研究としてモンゴルに行ってきます。なので、申し訳ないですが前期の私の授業は、他の先生方の振り替えとなります。でも授業はきちんと引き継いでいくから心配しないで。まあまだ状況がわからないですけど、行けると良いなと思ってますよ。

PROFILEプロフィール

  • 松川 節

    社会学部 コミュニティデザイン学科 教授



    東京外国語大学外国語学部モンゴル語学科卒業、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。国立民族学博物館講師、大谷大学講師を経て、現在、大谷大学社会学部教授。2012年度より日本・モンゴル合同「エルデニゾー・プロジェクトⅡ」の日本側代表、2014年度より日本・モンゴル合同「モンゴル国カラコルム博物館における歴史研究を基軸とした情報化と国際協働の推進」プロジェクト日本側代表。2016年度より日本・モンゴル合同「ハン・ヘンティ・プロジェクト」の日本側代表。
    2022年度は、日本・モンゴル共同「モンゴルの山岳信仰調査プロジェクト(ハン・ヘンティ・プロジェクト)」を一層推進し、モンゴルの世界的文化遺産を歴史学・宗教学・考古学・文化保存科学・観光学の諸側面から研究し、それら有形・無形の文化遺産をマルチメディアを活用してデジタル化・データベース化し、電子媒体で提示する方法を追究する。研究において歴史学・文献学的手法と社会情報学的手法を融合させ、人文科学・社会科学における新たな研究スタイルを構築し、その成果を学生指導に生かしていきたいと考えている。



  • オープンキャンパスでコミュニティデザイン学科の説明や模擬授業を受けて興味を持ち、先生やキャンパスの雰囲気が気に入って大谷大学を受験した。入学後は授業やアルバイト、趣味のライブなど充実した大学生活を送っている。
    高校までとは違い、大学の授業では自分で考えることが増えたと実感。小学生の頃からパソコンを使うことが好きだったこともあり、地域政策学コースの中でも情報系へ進むことにした。京都にたくさんある有形・無形の文化財を情報技術によって保護していこうというゼミの取り組みにも興味を持っている。