通学に時間がかかる大学を「面倒くさい」とも思わずに、毎日楽し気に通って来る青山君が社会学部に入学した決め手は、間口が広かったから。将来の夢が定まらないうちは、様々なことを学べる社会学部で知見を広げるつもりです。コロナ禍での授業に戸惑うこともありましたが、持ち前のおおらかさで友達と助け合って乗り切ってきました。研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受け、今後についてじっくり考えていくつもりです。

09 これからは授業の形態も変わってくる

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青山:先生の研究内容はどんな内容ですか?
 
脇中:ゼミの他に例えば2回生配当で「犯罪と社会」っていう授業をやっています。犯罪心理学系だけど、私自身の専門のベースは発達臨床心理学です。私は教育・心理学科でも「障害児心理学」などの授業を担当してるんだけど、発達障害がある人達が社会で犯罪に巻き込まれることがとても多い。中には実際に罪を犯す立場になることがあって、そうした人を担当する弁護士さんから依頼が来るようになって、心理学的鑑定をしたり法廷で証言したり対応していたら、だんだん法心理学も専門になってきたっていう感じですね。
 
青山君の自宅にも近い東近江市では、2004年に湖東記念病院事件という冤罪事件が起きているけれど、知っていたかな?
 
青山:発達障害のある女性への冤罪事件で、再審無罪になったところを家族とテレビで見ました。
 
脇中:懲役12年の判決を受けて服役した後に、再審無罪になったんだよね。あの事件の第一次再審請求では、私が「取調べで虚偽自白した可能性が高い」という心理学鑑定書を書いて、2010年に大津地裁に提出しました。当時は即座に棄却されたんだけど。
 
青山:そうだったんですか。
 
脇中:大谷大学社会学部では社会学や人類学が専門の先生が多いんだけど、私みたいに、元々は社会学が専門領域ではないっていう教員も何人かいるんですよ。まあ、人を相手にする心理学でも、2,3人以上が対象ならば社会学にもなるからね。大谷は文学部から始まってるから、文献をコツコツと読み込むという伝統があるようで、社会学部としては、文献講読の他にもフィールドワークと社会統計を身につけることを推奨しています。社会統計の授業はどう?
青山:「社会統計学基礎」ですよね?僕、小学生の頃からパソコン教室に行ってたので、その辺はわりと大丈夫です。
 
脇中:それはよかった。わからないことがあったら、教科書で勉強したりする?
 
青山:前期は、買って使わなかった教科書もありますけど、基本、勉強の仕方がわからないので、教科書があった方がいいですね。前期は特に、課題だけ出されて説明が少なかったりしたので、教科書なしで自分で理解できる人はなかなか少なかったです。
 
脇中:オンラインの授業だけでは未消化で、勉強に困ったってこと?
 
青山:そうです。後期も、一応資料を配ってる授業があるので、OTANI UNIPA(※)にアップされてるのを見ながらやってたりとか。英語は小テストもありますし。
 
脇中:UNIPAにアップできるようになって便利になりましたね。
 
青山:紙とかなくしやすいんで(笑)。この前iPadを買ったんですけど、授業中も黒板を写したり、メモをしたりするときに使ってて、便利です。
 
脇中:板書をノートせずに写真に撮る人、いますよね。そうしたら別の学生から「カシャカシャうるさい」とか私が文句を言われたりするんですよ(笑)。なんで私が写真を撮ってる人のクレームを受けないといけないんだと思いつつも、「今から板書を消すから、写真撮りたい人は今撮って、写メタイム」と言って、写真を撮るタイミングを告知したりしてます。授業の形態もこうやって少しずつ変わって来てるんでしょうね。大学の勉強で、心配なことはありますか?
 
青山:ホンマに留年せずに卒業できるのかなとか、不安ですね。
 
脇中:今の感じで順調に単位を取っていれば、3、4回生になったらゼミだけという学生もたくさんいますよ。
 
青山:その頃には就活も始まるんですよね。
 
脇中:そうだね。授業が終わってからスーツ着て夜行バスで東京に行って、そこで就活をしてたっていう学生もいました。でもそうしてインターンをやってた学生のところに優先的にメールがいくとかもあるらしいし、ぜひ積極的に動いて頑張って欲しいと思います。
(※OTANI UNIPA……OTANI UNIVERSAL PASSPORTの略。パソコンやスマホからIDとパスワードを入力すれば、休講情報や個別時間割などをチェックできる他、課題資料の配付や課題提出など授業にも利用される学生支援システムの略称。)

PROFILEプロフィール

  • 脇中 洋

    社会学部現代社会学科 教授



    1959年東京生まれ。京都大学農学部を経て、1996年立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年花園大学講師、2002年同助教授、2006年教授。2008年より大谷大学教授、現在に至る。臨床心理士、保育士。
    「コミュニケーションの発達的変容」を研究テーマとして、以下の個別課題に取り組んでいる。「乳児の初期コミュニケーションの生成と変容」「発達障害児や聾児の対人コミュニケーション」「取調べにおける供述分析」「高次脳機能障害者のピアサポートによる自己の再構築」「犯罪加害者の更生」。いずれの課題も、「ヒトはどこまで変わりうるのか」の探求を目指している。



  • 高校2年の頃は経済学部や経営学部のある大学を考えていたが、社会学部に入学した決め手は「間口が広かったから」。コロナ禍での授業に戸惑うこともあったが、持ち前のおおらかさで友達と助け合って乗り切ってきた。
    将来の夢が定まらないうちは、様々なことを学べる社会学部で知見を広げようと考えている。また研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受け、今後についてじっくり考えていくつもりだ。