通学に時間がかかる大学を「面倒くさい」とも思わずに、毎日楽し気に通って来る青山君が社会学部に入学した決め手は、間口が広かったから。将来の夢が定まらないうちは、様々なことを学べる社会学部で知見を広げるつもりです。コロナ禍での授業に戸惑うこともありましたが、持ち前のおおらかさで友達と助け合って乗り切ってきました。研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受け、今後についてじっくり考えていくつもりです。

07 研究テーマは好きなことから見つける

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脇中:もうすぐ「視点」(※)選択と2回生からのゼミ志望書の締め切りだけど、「公共社会」「人間関係」「現代文化」のどれにしようと思ってる?
 
青山:まだ悩んでます。どういうのが自分に一番当てはまってるのかっていうのがわからなくて。
 
脇中:結婚問題を考えるんだったら「人間関係」っぽいし、経営に興味があったんなら「公共社会」かもしれないし、複合的な視点になることも結構多いからね。具体的なテーマをみつけて、それを掘り下げるんだったらこの「視点」で、っていうふうに考えると良いかも。この前のガイダンスで、どの先生がどんなことをやってるかはわかったでしょ?まずは「好きなこと」をやってくれたらなと思うんです。簡単にできそうだからと「やれること」からテーマを選ぶと、後々壁にぶつかった時にモチベーションを失ってしまうことが多いみたい。青山君は何か趣味はある?
青山:小学校1年生からエレクトーンをやってます。今でも習いに行ってて、何でも弾きます。右手と左手とベースがあって、全部使うんですけど、小学校の時は怒られてばっかりでしたね。でも今は楽しいです。やってて良かったなって思います。前は音楽の先生になることとかも考えたんですけど、現実を見るとやっぱり大変で。
 
脇中:3回生に三味線をやってる学生がいて、かなりの腕前らしいんですよ。青山君と同じ滋賀の学生なんだけど、練習やライブのために大阪まで通ってて。当初プロの演奏者も考えてたけど、コロナでこんなふうになってしまって、これでは食べていけないって思って、最近になって一般企業の就活に切り替えたって言ってましたね。
 
青山:音楽ではなかなか食べていけないですね。小学校の時は現実を見ないじゃないですか。だから軽く「エレクトーンの先生になりたいな」みたいなこと言うんですけど、中高生あたりになって将来の夢について調べるようになってくると、これではな……って思うようになりました。神奈川の大学には、電子オルガン科もあるんですけど。
脇中:へえ、エレクトーンも進学先として調べてたんだ。じゃあ今の将来の希望は?
 
青山:家から通えるところで、いいところに就職出来ると良いなってことですかね。
 
脇中:現実的だね(笑)。でもコロナで業績が左右されたところとか、いろいろあるからね。航空業界とかは新卒採用を停止したところも出てきたから、今のうちからいろいろ調べておかないとね。バイト先で正社員になろうとは思わないの?
 
青山:いや~、絶対に思わないです。
 
脇中:そうか(笑)。スーパーとか生活に結びついた流通や販売系は伸びそうだけどね。どんな業種に関心があるの?
 
青山:金融とかは考えたことあります。証券会社とか。
 
脇中:卒業生でそちらに就職した教え子が、「証券会社は身体壊してなんぼですよ」って言ってましたね。同じく証券会社に就職した別の卒業生は、固定客が多くてそんなこともないって言ってたから、会社にもよるんでしょうけど。会社は自分と社風が合うかどうかよく考えて選ばないとね。まあ、まだ先のことか。
(※視点……「視点」は、第2学年進級時に選択する。社会学は研究領域があまりに幅広いので、現代社会学科では、ひとりひとりの関心傾向に沿って授業を提供できるよう、3つの「視点」の中から、自分の考え方・感じ方がどれに近いかをゆるやかに選択してもらっている。「コース」とは異なり、後からの変更も可能で、授業選択時の制限も特にかからない。)

PROFILEプロフィール

  • 脇中 洋

    社会学部現代社会学科 教授



    1959年東京生まれ。京都大学農学部を経て、1996年立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年花園大学講師、2002年同助教授、2006年教授。2008年より大谷大学教授、現在に至る。臨床心理士、保育士。
    「コミュニケーションの発達的変容」を研究テーマとして、以下の個別課題に取り組んでいる。「乳児の初期コミュニケーションの生成と変容」「発達障害児や聾児の対人コミュニケーション」「取調べにおける供述分析」「高次脳機能障害者のピアサポートによる自己の再構築」「犯罪加害者の更生」。いずれの課題も、「ヒトはどこまで変わりうるのか」の探求を目指している。



  • 高校2年の頃は経済学部や経営学部のある大学を考えていたが、社会学部に入学した決め手は「間口が広かったから」。コロナ禍での授業に戸惑うこともあったが、持ち前のおおらかさで友達と助け合って乗り切ってきた。
    将来の夢が定まらないうちは、様々なことを学べる社会学部で知見を広げようと考えている。また研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受け、今後についてじっくり考えていくつもりだ。