サッカーや小説をきっかけに、文学や歴史にも広く関心を持ってきた八田さんは、大学で受ける授業を通して、今まで「知らなかった」ことがとても面白く感じられ、どんどん知識を吸収しています。のめりこむほど面白い授業がある一方、人見知りのため、なかなか先生に話しに行けないという一面も。幅広い関心と持ち前の向学心をさらに燃やして、目の前に広がる世界の探究に出かけます。

04 神が宿るトイレと、汚物を避けるハイヒール

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浅若:授業はアジアのものをたくさん取ってるよね?
 
八田:はい。やっぱり朝鮮半島と日本だけ勉強していても視野が広がらないと思って。日本が植民地にしていたのは朝鮮半島だけじゃないし、国内だったら琉球とかアイヌとか。そういうのを知らないと、なんで植民地にされたのかっていう根底はわからないなって思うので、勉強したいなと思っています。
 
浅若:植民地のことに関心があるんですね。
 
八田:植民地についても興味があるんですけど、江戸時代の友好的な日朝関係から、日本はなんで朝鮮を植民地にしたんだろうっていうそこの流れに、今は興味があります。
 
浅若:歴史学科に入学することは考えなかったの?
八田:文学とか歴史をやっても良かったんですけど、日本だけが戦争をしたわけじゃないじゃないですか。当時の日本や朝鮮の歴史を知りたいというより、世界がどう動いていたのかを知りたいです。その中で日本はどういう位置にいたのかなっていうのを知るには、国際文化学科がいいかなって思って。
 
浅若:深く考えてきたんだね。今取ってる授業で面白いものは?
 
八田:「国際文化概論」です。ちょうどアジアのことをやってて、自分の興味のある文化圏なので、面白いです。でも前期の欧米についての授業もすごく面白くて、国際文化学科ならではだと思います。ドイツの移民について学んだり、黒人差別について取り上げたり。今までは自分の中でも、アジアだけしかやってないみたいな感じやったんで、欧米のことは知らなかったなって。違う文化圏のことに目を向けてなかったなって気づいた感じです。
浅若:概論はいろんな先生がやるから、話題がたくさんあるよね。
 
八田:テーマが広がるのも面白いです。前期の「国際文化演習」では、世界のトイレについて取り上げたんです。トイレ掃除から見えてくる世界観についてっていうテーマで(笑)。いろんな論文を見ていくうちに、日本人の掃除精神みたいな、歌にもありますけど、いろんなものに神が宿ってるっていう思想がありますよね。そういうのと、ヨーロッパでは汚物を道に捨てていて、それらを避けるためにハイヒールができたっていうのを知って、その違いがすごい面白いなって思って。でもトイレに関する論文はあんまり見つからなかったです。自分の検索履歴が「トイレ」「世界」の2つで埋まってて、笑えました(笑)。でも、トイレからその国の様子が見えてくることもあるんだなってわかって面白かったです。

PROFILEプロフィール

  • 浅若 裕彦

    文学部国際文化学科 教授



    1995年京都大学文学研究科博士後期課程単位取得退学。文学修士。1996年大谷大学専任講師。2002年大谷大学助教授。2007年大谷大学准教授。
    英語小説に用いられる様々な技法、中でも自由間接話法とその表現効果に関心を持っている。自由間接話法の発達の歴史の中でよく言及されるのが、イギリスの作家ジェーン・オースティンだ。この技法自体はオースティンよりずっと古い時代から存在していたが、彼女はしばしばパイオニア的存在として扱われる。彼女がこの技法の発達の過程で果たした役割について、さらに考えていきたい。



  • サッカーをきっかけに中学生の頃から韓国語に興味を持ち、高校生の頃には小説をきっかけに文学や歴史にも関心を持ってきた。高校の時に先輩に勧められた授業で大谷大学を知り、受験。大学で受ける授業を通して、今まで「知らなかった」ことがとても面白く感じられ、どんどん知識を吸収している。
    のめりこむほど面白い授業がある一方、人見知りのため、なかなか先生に話しに行けないという一面も。幅広い関心と持ち前の向学心をさらに燃やして、目の前に広がる世界の探究に出かける。