地元を活性化したいという希望を持ってコミュニティデザイン学科に入学してきた柴田君は、コロナ禍でフィールドワークがなくなるという現状を残念に思いながらも、文献を通して知る地域活性化の先進例に刺激を受けています。先輩たちと一緒に様々な地に赴き、現場から学んでいく日々を楽しみにしつつ、今は例年の楽しい話に胸を躍らせています。将来は地元で公務員になりたいと、受験対策講座を受けながら、今できることを頑張っています。

07 文系も理系も一緒になって、新しい視点を吹き込む

柴田:先生の専門は地学なんですか?
 
鈴木:私の専門は地質学です。理学部で、岩石とか鉱物とか化石とかを扱ってました。プランクトンの化石を地層から取り出して、地質年代を決めるっていう研究をずっとやっていて、アルプス山脈とかミャンマーとかでもやってたんです。現地に行って何やらするっていうのはコミュニティデザイン学科的であるということで、この学科に配属になったんだけどね。あとは、理系科目を担当してます。何か取ってる?
 
柴田:取ってないです。理系は苦手で。
 
鈴木:そうか(笑)。でも私も理系ばっかりじゃなくてね。最近は文化地質学っていうのをやってまして、地質と人びととの関わりっていうところで研究してます。今まで地質学って言うと、理学部の出身者が「不変の真理を明らかにするんだ」って言ってきたわけですよ。そういう中で私が「人との関わりが……」って言うと、「何だあれは?」って後ろ指を指されるんですけどね(笑)。
でも日本は、災害が多いでしょう。地震とか津波とか。そのたびに地質学が必要になってくる。人抜きにして地質学はありえないんですよ。だから人との関わりも含めていこうってことで、2014年から導入して、地質学会なんかでやりだしたんです。そうしたら意外といろんな人が興味を持ってくれて、2018年に文化地質研究会っていうのを立ち上げて、今は90人くらいの会員で活動してるんですよ。
 
日本は、八百万の神って言うでしょ。山が神様とかね。そういう自然物に神が宿るっていうのは、地質学にも関わってくるんです。日本の場合、伝統的な建物っていうと、法隆寺とか東本願寺とか、木造の建物が多いでしょ。ヨーロッパは石造り。でも日本に石造りの建物がないかって言えばそんなことはない。お城に行けば石垣はたくさんあるし、山の中にはシシ垣っていうのもある。野生動物の侵入を防ぐために築いた石垣で、今の電気柵のようなものですね。有名なのは長崎県にある、高さが1.5メートルくらいのものでね。そういうのも、文化財的な意義を調べてる人がいるんです。そういうことは、やっぱり言わないと農道を作るとか言って壊されてしまうんですよ。だから地質と人びとの暮らしって、結構関わりがあるんですよ。
 
柴田:棚田なんかもそうですよね。
 
鈴木:そう。それから、文学作品にも地質に関する記述は結構あって。松尾芭蕉は松島湾に行ったけど、俳句が詠めなかった。そこの景色が素晴らしすぎてね。浸食されて細った島とか、地層の模様が見えたりとか、とても言葉にできない、という文章が残ってたりするんですよ。宮沢賢治の作品にも、鉱物とか岩石の名前とかがバンバン出てくる。そういうのを、地質学者が見たらどう解釈できるかっていうのを、今までやってこなかった。そういう視点を持って来なかったんです。今までは、文学作品だったら文学者が読み解いてきたんだけど、結構間違った解釈をしてることもあって。地質学者が見たら当たり前で「こんなのありえない」っていう解釈があったりするんで、やっぱり協働してやっていくべきなんじゃないかっていうことで、文系の人も理系の人も一緒になって研究しています。
そういう文理融合の視点で、有田ミカンも地質との関わりから何かできるかもしれないと思ってるんですよ。地域で地質とか地形って違うから、そっちから見たら、有田ミカンがどう捉えられるかっていうのはあると思うんです。これからいろいろ面白いこともできると思うから、ぜひ一緒にやっていきましょう。

PROFILEプロフィール

  • 鈴木 寿志

    社会学部コミュニティデザイン学科 教授



    1966年神奈川県生まれ。京都大学大学院後期博士課程修了。博士(理学)。山形大学理学部助手、京都大学非常勤講師、(有)地質調査グループGEOTEC、レオーベン大学研究助手、大阪学院大学非常勤講師を経て、2008年に大谷大学文学部着任。
    造山作用による山地形成過程を放散虫などの微化石を用いて研究している。これまでに日本、チベット、ミャンマー、オーストリー、セルビア、北部アンデス、ケニアを対象に地質・地形発達過程を調べてきた。さらにこれらの国々の自然環境と文化形成との関連についても研究をひろげている。日本のように地震活動の活発な変動帯では、どのような文化が生まれたのだろうか?地質にかかわる文化事象から考察している。



  • 地元が好きで、将来地元を活性化したいという希望を持ち、コミュニティデザイン学科に入学。コロナ禍でフィールドワークがなくなるという現状を残念に思いながらも、文献を通して知る地域活性化の先進例に刺激を受けている。
    先輩たちと一緒に様々な地に赴き、現場から学んでいく日々を楽しみにしつつ、今は例年の楽しい話に胸を躍らせている。公務員になる夢を叶えるため、受験対策講座を受けながら、今できることを頑張っている。