地元を活性化したいという希望を持ってコミュニティデザイン学科に入学してきた柴田君は、コロナ禍でフィールドワークがなくなるという現状を残念に思いながらも、文献を通して知る地域活性化の先進例に刺激を受けています。先輩たちと一緒に様々な地に赴き、現場から学んでいく日々を楽しみにしつつ、今は例年の楽しい話に胸を躍らせています。将来は地元で公務員になりたいと、受験対策講座を受けながら、今できることを頑張っています。

06 現場はヤバくて、美味しくて、楽しくて、面白い

柴田:今まではどんなフィールドワークがあったんですか?
 
鈴木:去年は京都の網野町で調査をやったんですよ。今、プラスチックごみが海岸にどんどん流れて来ていてね。そこでは、今の3年生が10人で1週間合宿して、毎日プラスチックごみを調べましたね。ハングルが書かれたごみとかも転がってて、特に多いのは、漁具ですね。その他にヤバいのは、注射針。医療廃棄物ですね。ひどいのには本当に血液が入ってたりする。これ、肝炎ウィルスの危険性があって、ヤバいですよ。
 
柴田:思ってた以上にすごいんですね。
 
鈴木:それから、過酸化水素を海苔の養殖で使うらしいんですけど、そのボトルとかね。いろんなものが漂着して来てて、本当に悲惨やね。厄介なのが発泡スチロール。あれ、分解すると、1〜2ミリの細かい粒になって舞い上がって、取れないんですよ。このプラスチックのごみ問題に取り組んでる様子は、新聞にも載ったし、京都テレビのニュースでも紹介されましたね。
 
柴田:深刻な問題なんですね。
 
鈴木:でも悲惨な面ばかりでもなくて、「鳴き砂の浜」っていうのを守ろうってことで地元の人が動いて、それに協力したりもしてます。網野の場合は日帰りで行けるのでね。例年だったらそんなことをしています。
 
柴田:そういうのは良いですね。学年ごとにやることが違うんですか?
 
鈴木:「コミュニティデザイン演習Ⅰ」は、全体で同じことをやります。例年は先輩に付いてインタビューに行ってもらうんだけど、今年はオンラインインタビューを実施しましたよね。これは人生の大先輩にインタビューして、その半生をまとめるというものです。後期は「社会福祉学コース」と「地域政策学コース」とに分かれて専門的に取り組みます。本来は2年生からコースに分かれるんだけど、コミュニティデザイン学科は少し前倒ししてるんですよ。1年生の後期に、2、3年生の「プロジェクト研究実践」と一緒にやるのが「プロジェクト研究入門Ⅱ」。
私のプロジェクト研究では3つのプロジェクトがあって、1つは網野の漂着プラスチックごみ問題、もう1つは古座川のゆず栽培農家の支援、そしてもう1つは、有田ミカン栽培農家の支援。これはコロナもあって、プロジェクトとしてはできなかったんだけど、お客さんとしてなら行けるかなということで、ミカン狩りに行った班がありましたね。網野は、海岸で人と会わなければいいかということで、ごみ拾いには行けるんですよ。そういうプロジェクトを、後期から上の学年と一緒にやります。
 
柴田:ミカン狩りっていうのは楽しそうですね。
鈴木:有田は比較的うまくいっているんです。有田ミカンっていうのはブランドなのでね。でも高齢化が進んでて、市役所は危機感を抱いているんですよ。だから新規就農者を積極的に受け入れていて、ミカン畑を安く貸すとか、就農しやすい環境を作っています。脱サラしてやる人もいますね。そういうところを学生として見ていくと、双方いろいろな気づきがあると思いますよ。
 
それから、例えばフランスではワインを作る際に、地質とブドウの品質の関係にも注目しているんです。私は地質学が専門なので、それならミカンにも応用できないかと思って、地質とミカンの関わりっていうことを研究に取り入れられないかと思っていて。でも地域連携室からは、それは地域支援じゃないと言われちゃってね。僕の専門の研究がしたいんでしょ、と。まあそうなんだけど(笑)。でもやっぱり、何をするにしても現地を見ないとね。
 
柴田:どのプロジェクトも、すごく面白そうです。
 
鈴木:そうなんだよ。古座川には、やり手の人がいてね。年商もかなりの額なんですよ。でも収穫期はものすごく忙しくて、いろんなところから手伝いに来るらしいです。ウチも学生の手伝いを期待されてたと思うんだけど、行けなくなってしまってホンマ申し訳ない。高齢化が進んだところでは、収穫しないと、ゆず畑ではゆずが木についたままになるんですよ。そうするとイノシシがくる。だから放っておけないんですよね。そこでみんな一斉に「取れ~!」ってなる。
 
柴田:それは行きたかったですね。
 
鈴木:ぜひ次の機会を楽しみにしていてください。

PROFILEプロフィール

  • 鈴木 寿志

    社会学部コミュニティデザイン学科 教授



    1966年神奈川県生まれ。京都大学大学院後期博士課程修了。博士(理学)。山形大学理学部助手、京都大学非常勤講師、(有)地質調査グループGEOTEC、レオーベン大学研究助手、大阪学院大学非常勤講師を経て、2008年に大谷大学文学部着任。
    造山作用による山地形成過程を放散虫などの微化石を用いて研究している。これまでに日本、チベット、ミャンマー、オーストリー、セルビア、北部アンデス、ケニアを対象に地質・地形発達過程を調べてきた。さらにこれらの国々の自然環境と文化形成との関連についても研究をひろげている。日本のように地震活動の活発な変動帯では、どのような文化が生まれたのだろうか?地質にかかわる文化事象から考察している。



  • 地元が好きで、将来地元を活性化したいという希望を持ち、コミュニティデザイン学科に入学。コロナ禍でフィールドワークがなくなるという現状を残念に思いながらも、文献を通して知る地域活性化の先進例に刺激を受けている。
    先輩たちと一緒に様々な地に赴き、現場から学んでいく日々を楽しみにしつつ、今は例年の楽しい話に胸を躍らせている。公務員になる夢を叶えるため、受験対策講座を受けながら、今できることを頑張っている。