歌も語学も陸上も、なんでもこなす多田さんが生涯の研究対象に選んだのは、仏教でした。夢がかなわず挫折したとき、仏教の言葉が心の支えになったと言います。「これをやろう」と決めた多田さんの行動は、誰にも止められません。多分野の講演会や展示会に足を運んで見聞を広め、海外で語学力やコミュニケーション能力も磨いてきました。先生方も、明確な目標を描いて常に自らを向上させようとする多田さんの今後を、心から楽しみにしています。

06 哲学、心理学、平和学、外国語……、時間が足りない!

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新田:休みの日は何してますか?アルバイトとかは?
 
多田:やってます。今はお寿司のチェーン店で、その前はホテルのアテンダントをしてました。休みの日はバイトと、あとは博物館に行ったりします。立命館大学の国際平和ミュージアムは、ヤズディっていう少数派の民族が迫害されてることの展示とか、結構面白い企画がいっぱいあって。私は心理学にも興味があるので、1人で日本心理学会のシンポジウムを東京まで聞きに行ったり、高3の時は公開講座も受けてました。
 
新田:なんか、時間がいくらあっても足りないね。
 
多田:はい、足りないです。この間は「死の臨床」っていうシンポジウムに行ってきました。面白かったです。
 
新田:多田さんって、そういう人なんですね。
 
多田:実は大谷派の教師資格(※)も取りたくて。あと、臨床宗教師(※)にすごい興味があるんです。高1くらいから興味があって。真宗学科の大学院生の方に、どの大学院で学べるかとか、いろいろお話を伺ったりしてます。
 
新田:すごく活動的ですね。体が3つくらい必要ですね。
 
多田:私、いろんなことに興味があって。自分は主に仏教学をやっていきたいんですけど、哲学、心理学、あと倫理学もですし、女性学や平和学もすごい好きで。現代の諸問題を仏教で考えるっていうことが、最終的に研究したいことです。臨床仏教ですね。生命倫理の問題とかゲノムの問題、国際紛争とか戦争とか、女性の働き方、社会進出、そういうところにもすごい興味があって。
新田:多田さんはすごくアクティブな感じなので、仏教研究者の、じっと机に向かってインドの経典を研究するっていうイメージがないんですけど、語学も好きなんですか?
 
多田:はい、すごく好きです。英語もドイツ語も。いま、第2外国語でフランス語をやってて、知ってる言語はバイト先とかで使いたくなります。バイト先に来たフランス人と会話してたら、「パリに来たら連絡して」ってメールアドレスもらったりとか。
 
新田:なんでフランス語を?
 
多田:哲学をやるうえで、フランス語をやってた方が有利かなと思って取りました。
 
新田:そうなんですか。ぜひ世界をまたにかけて活躍してください。
(※大谷派の教師資格……真宗大谷派教師資格のこと。真宗大谷派の寺院住職になるために必要な資格で、大谷大学で取得可能。)
(※臨床宗教師……被災地や医療機関、福祉施設などの公共空間で心のケアを提供する宗教者のこと。)

PROFILEプロフィール

  • 新田 智通

    文学部 仏教学科 准教授



    2004年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。2008年博士(文学)。
    おもに19世紀から20世紀前半にかけて構築された仏教理解のなかには、近代西洋的な考え方の影響を受けているものが少なくない。そうした理解の多くが、まだ十分に問い直されることのないまま残されている。目下のところは「ブッダ観」を中心に、かつての定説を問い直すことを主要なテーマとしている。



  • 歌に語学に陸上に、さまざまなことに挑戦してきた。夢がかなわず挫折したとき仏教の言葉が心の支えになったことから、仏教に興味を持ち始めた。大谷大学への進学を決めたのは、オープンキャンパスで先生のお話を聞き、仏教への興味がさらに深まったから。
    多分野の講演会や展示会に足を運んで見聞を広め、海外で語学力やコミュニケーション能力も磨いてきたことを生かし、明確な目標に向かって常に自らを向上させようと力強く進んでいる。