歌も語学も陸上も、なんでもこなす多田さんが生涯の研究対象に選んだのは、仏教でした。夢がかなわず挫折したとき、仏教の言葉が心の支えになったと言います。「これをやろう」と決めた多田さんの行動は、誰にも止められません。多分野の講演会や展示会に足を運んで見聞を広め、海外で語学力やコミュニケーション能力も磨いてきました。先生方も、明確な目標を描いて常に自らを向上させようとする多田さんの今後を、心から楽しみにしています。

05 宗教に対する偏見を正したい

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新田:チェコのことは全然知らないんですけど、なんで無宗教色が強くなったんですかね?
 
多田:そこも調べていきたいです。
新田:これからなんですね。多田さんが、無宗教に流れていくのを変えなきゃいけないっていうのはなぜですか?人は人で、信じたい人だけ信じればいいじゃんとは思わない?
 
多田:思わないこともないですし、無宗教がダメなわけでもないと思うんですけど、宗教紛争とかが起こってるところだけを見て、信仰がマイナスイメージとして捉えられてしまうのはあんまり良くないと言うか。一部の報道だけを見て、宗教が危ないものとかいう印象を持つのは良くないかなと。
 
新田:宗教離れを食い止めようというよりは、偏見を正したいって感じなんですね。それで大谷大学の仏教学科を選ばれたけど、正直な話、仏教学科のみんながみんな仏教大好きなわけでもないだろうし、その辺はどう思ってますか?
 
多田:仏教好きで研究したいっていう子は、私くらいしかいないんじゃないかなと思って入って来たんですけど、数人はすごく仏教好きっていう子がいて。その子たちとは結構いろんな話をするんですけど、まあ、そうじゃない子たちの方が多いですね。でも私、結構友達をつくるのが得意なので、国際文化学科とか社会学科とか、結構いろんな学科の友達がいます。
 
新田:僕は逆に友達をつくるのが苦手なんですけど、どうやったら友達ってできますか?
 
多田:ええ(笑)?私は、街中歩いてて、そのまま外国人と仲良くなって一緒にご飯に行ったりするので、誰とでもすぐ友達になるんですよ。……共通項を見つけることですかね?
 
新田:なるほど。勉強になります。
多田:いえ(笑)。
 
新田:じゃあ学内では知らない人の方が少ないんじゃないですか?私と真逆かもしれないですね、性格が。他の大学は考えなかったんですか?
 
多田:考えたこともあったんですけど、やっぱり系列校で育ってきてたし、中学・高校でどちらかと言うと浄土真宗の教えを学んできたんで、谷大にしました。オープンキャンパスのときの先生方との出会いも大きかったですし。他の大学のオープンキャンパスにも行ったんですけど、やっぱりここが一番で。
 
新田:後悔してないですか?
 
多田:全然してないです。

PROFILEプロフィール

  • 新田 智通

    文学部 仏教学科 准教授



    2004年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。2008年博士(文学)。
    おもに19世紀から20世紀前半にかけて構築された仏教理解のなかには、近代西洋的な考え方の影響を受けているものが少なくない。そうした理解の多くが、まだ十分に問い直されることのないまま残されている。目下のところは「ブッダ観」を中心に、かつての定説を問い直すことを主要なテーマとしている。



  • 歌に語学に陸上に、さまざまなことに挑戦してきた。夢がかなわず挫折したとき仏教の言葉が心の支えになったことから、仏教に興味を持ち始めた。大谷大学への進学を決めたのは、オープンキャンパスで先生のお話を聞き、仏教への興味がさらに深まったから。
    多分野の講演会や展示会に足を運んで見聞を広め、海外で語学力やコミュニケーション能力も磨いてきたことを生かし、明確な目標に向かって常に自らを向上させようと力強く進んでいる。