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きょうのことば

きょうのことば - [2015年03月]

大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。

「大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。」
玄田有史(『希望のつくり方』 岩波新書 200頁)

 3月、今年も大谷大学から約830名(院修了生を含む)の卒業生諸君が旅立ちの季節を迎えます。多くの卒業生諸君は、社会人として巣立って行きますが、むろん、晴れやかな気持ちの卒業生ばかりではないかもしれません。たとえ卒業後の進路が決まってはいても、社会人としてやっていけるかどうか、など不安な気持ちを抱えている学生諸君も少なくないでしょう。
 
 かく言う私も、約20年前、本学を巣立った卒業生の一人です。社会人となることへの漠然とした不安や、ようやく一人立ちできることへの気概や嬉しさなどが混ざり合った気持ちのまま、春を迎えたことが思い出されます。職場や仕事にも慣れた頃、諦められない夢が頭をもたげ、その実現のために、転職を自らの「希望」として抱くようになり、その「希望」が、自らを奮い立たせてくれたのでした。
 今思えば、まさにあの頃が「壁」にぶつかっていた時でした。人生の壁と無縁に歩める人など、誰一人としていないと言ってもいいでしょう。
 
 標題の言葉は、そんな私たちを勇気づけてくれるようです。「希望」の研究者・玄田氏は、壁にぶつかることは、悲しみ落ち込むべきこととは限らない、「どうすればもっとよい将来をもたらすことができるかを考え、ときに思い悩みながら、試行錯誤を続ける。そこから希望は、生まれる」(35頁)と述べます。すなわち壁にぶつかることは、もがきながらでも、人生を歩まんとしている証であり、その試行錯誤のもがきのなかで「希望」は生まれる、というのです。

 
 氏は、標題の言葉に込めた意味を、次のように説明しています。
 

 どうしよう、どうしようと、とにかく立ち止まらずに壁の前を行ったり来たりする。そのとき本当に偶然なのですが、壁の下に小さな穴がみつかったりすることがある。(中略)そこに勇気を持ってもぐりこんで、もがいているうちに、壁の向こうにたどりついたりすることがあるんです。その穴は、行動せずに立ち止まっていただけでは、みつからなかったかもしれない。(201頁)
 
 人生に「壁」はつきものです。もし君が「壁」に出くわした時は、標題の言葉を思い出してみて下さい。すると、少し気分が楽になるのではないでしょうか。皆さんには、決して「穴」を見つけることをあきらめないで欲しいと思います。
 さあ、踏み出しましょう。卒業して就職する人も、進路が決まらない人も、大学に残る人も、勇気を持って、今日から一歩を踏み出そう!

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