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きょうのことば

きょうのことば - [1997年08月]

真の贅沢というものは、ただ一つしかない、それは人間関係という贅沢だ。

「真の贅沢というものは、ただ一つしかない、それは人間関係という贅沢だ。」
サン=テグジュペリ『人間の土地』(新潮社文庫)36頁

 これは『星の王子さま』という有名なおとぎ話を書いたサン=テグジュペリ(1900-1944)のことばです。
 真の贅沢が、人間関係であるとはどういうことでしょうか。私たちは、物質的には贅沢な国に住んでいます。だからサン=テグジュペリがいう人間関係の贅沢はかえって見えにくくなっているのではないでしょうか。私たちは、「人間関係が私の財産だ」などといって、自分にとって都合のいい関係を築こうとしています。人との関係でさえも私の財産という<物質>にしているのです。そして私たちは、そのような自分の都合でつくった関係にしばられて、その関係を守るために汲々とし、関係が行き詰まったといっては孤独感にさいなまれるのです。
 どうしたら自分の都合にしばられた人間関係でなく、真の人間関係を生きることができるのでしょうか。釈尊のもとにあつまった真理をもとめる人びとの集いをサンガといいます。そのサンガには、頭の良い人もそうでない人も、位の高い人も低い人も、善人も悪人も入ることができた。さまざまな人を包んだサンガはさまざまな矛盾をかかえ、さまざまな問題が起こりました。しかし釈尊は、そのような差別や矛盾をかかえながら、真理にもとづいた人間関係を回復していこうとする集いこそ世の宝であるといわれました。
 この釈尊の教えによって思われることは、人間関係は、自分の都合でかってに作ることができるものではなく、自らの生きる意味を見いだしていく場所だということです。人間関係は、私にとって都合のよいものばかりではありません。好きな人もいれば、いやな人もいます。同じ人でも励ましあうこともあれば、ぶつかりあうこともあります。人生の喜びも悲しみも、そこから生まれてきます。そこには、さまざまな価値観、人生観が渦まいており、問題や矛盾に満ち満ちています。この人間関係だけが、私の人生に深い問いと意味を与えてくれるのです。
 人間にとって真の贅沢というものは、ただ一つしかありません。それは本当の人間関係を生きることです。人との係わりを生きることが、人間であることの真の意味だからこそ、人間関係がただ一つの真の贅沢といわれるのでしょう。人間関係も多くの贅沢のなかの一つだというのではありません。人間関係以外は、どのような贅沢も人間にとっての真の贅沢ではないのです。
  私たちは、釈尊の教えに真の人間関係を回復する道を聞いていきたいものです。

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