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きょうのことば

きょうのことば - [2002年04月]

如来の智慧海は、深広にして涯底なし。

「如来の智慧海は、深広にして涯底なし。」
『仏説無量寿経』

 今年も新たな学びの仲間を迎える季節となりました。新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
 「何のために生まれてきたのか」、「どう生きればいいのだろう」。自分の生まれてきた意味や価値を求めずにはいられない、それが人間の性質です。特に人生の壁にぶつかったときに、その問いは大きいものとなります。そのような問題をかかえている私たちにとって、大谷大学はこれからの人生を考えていく大切な場所になるに違いありません。
 現代は、自分の生き方を見つけるのが、たいへん難しい時代です。世の中の価値観に押し流され、進学・就職という枠組みの中だけで人生を考えがちで、自分なりの目的意識が明確になりにくいのです。また、たとえ自分の目的に向かって進んできた場合でも、時代の変化の中で、「これでよかったのか」、「こんなはずではなかった」という思いをもつことにもなります。本当に満足するということがなかなか難しいのです。決して不真面目だからというわけではありません。どれほど真面目であっても満たされないという気持ちが残るのです。それは、どうなれば本当に満足できるかを知らないことによるのです。
 上に挙げた言葉は、親鸞が真実の教えと仰いだ『仏説無量寿経』に説かれるものです。

如来の智慧海は、深広にして涯底なし。
(如来の智慧は海のように深く広く、かぎりがない。)
 私たち人間にも知恵はあります。その知恵によって確かに物質は豊富になり、生活も便利になってきました。しかしその一方で自分の利益を優先し他と争いを繰り返したり、効率ばかりにとらわれて地球環境を破壊し続けていることも事実です。それは人間の知恵が、人間中心で、未来を見通せないことによるのです。しかも、そんな問題を自分たちがかかえていることにも気づかず、目先の利益を追い続けているのが人間なのです。
 そんな私たちに釈尊は呼びかけます。「如来の智慧海は、深広にして涯底なし」と。真に未来を見通し、徹底して人間の問題を見つめているのが如来の智慧だというのです。この深くて広い智慧に接するとき、私たちは自分の物の見方がいかに浅かったか、狭い範囲しか見ていなかったかに気づくことができるのです。そこから、何が本当に大事なことなのか、それを探求する学びが始まるのです。

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