生涯学習講座

2009年度受講講座
『大乗仏教のあゆみ-親鸞の眼を通して-』

2009年度講座受講生/大西由香さん

受講講座  真の仏弟子-善導-/濁世末代の教え-源信-/真宗興隆の大祖-法然-

大西さん写真

私が受講したのは、2007年10月より開始された「大乗仏教のあゆみ-親鸞の眼を通して-」の総論から法然に至るまでの計七つの講座(本来なら8講座開講されていたのですが、一講座のみ時間の都合が尽かず断念しました)です。

足掛け3年。よく続いたものです。

そもそも私がこの講座の受講を決めたきっかけは、仏教に興味を持ち「日本の仏教とはどんなものかを学んでみたい」と何気にもらした一言に対し、友人が返してくれた言葉が発端となっています。

「興味があるなら取り敢えず何かやってみたらいい。学習環境が整った京都では多くの大学が様々な社会人向けの講座を開講している。継続に対する自信・時間の有無、躊躇する理由はいくらでもあるけれど、とにかく始めてみないことには、何も得ることは出来ない。」

この言葉は、これまでただ漠然と学習方法を模索していた私にとって、一つの道を指示してくれるものでした。そして、そんな私の眼に飛び込んできたのが、「大乗仏教の歩み—親鸞の眼を通して—」の第2回目の講座・龍樹の文字でした。

龍樹。私がこの名と出会ったのはいつのことなのか、定かな記憶はありません。ただ、意識するようになったのは、2006年のインド旅行からのことです。

インドの旅は、書き尽くすことができない程様々なものを私に与えてくれました。予定を持たず、行き当たりばったりで進む旅の中、私は図らずも釈迦の聖地ばかりを訪ね歩いていました。簡単にいってしまうと、仏様の側にいるとほっとできたのです。自分が仏教文化をベースに生きていたことを再認識しました。

インドを起源とする仏教は、現在では原始仏教とされ、日本で浸透している大乗仏教はその枝葉の一つ(発展系?)。私が理解していると思い込んでいた仏教と、インドの仏教は微妙に違うのです。

それでは、私が理解しているはずの大乗仏教とはどういうものなのか・・・。正直いってよく判らないのです。聖地に安らぎを感じながらも疑問は日々増大していくばかりでした。

インドの旅では多くの人と出会う中で、幾つもの疑問を抱え、度々それを口にしてしまう私の耳に幾度となく入り込んできた名前、それが龍樹だったのです。

龍樹(ナーガールジュナ)。日本では八宗の祖師と称され、『空』の理論を大成させて大乗仏教全般に決定的影響を与えたといわれている人物です。原始仏教が大乗へ変遷していくにあたって要ともなる存在として、私の中でとても興味深く意識される名となっていました。
 
そんなインドの旅とリンクするような龍樹の名をパンフレットに見つけた時、私は小躍りしたいような気持ちになりました。しかも私にアドバイスをくれた友人との出会いは、大乗仏教圏のチベットの旅でした。これも一つ縁かもしれない・・・。私は受講を決心しました。

あっと云う間に3年経ちました。

総論・龍樹・天親・曇鸞・善導・源信講座の後、先日法然の講座を修了しました。今更ながら、生来の飽き性である私がよく続いたと感心しています。一講座、平均6回なのですが、各々の時間において、その人物が昇華した仏教内容がその時代性と共に講義され、折々に講師の方の考えも知ることができ、飽きている暇などありませんでした。親鸞や法然の直筆文字を見せて頂けたスライド上映も、彼等が確かにそこに生きていた証を見るようで、興味深いものでした。
 
こうやって文章にしてみると、改めて「やっぱりやってみてよかった」と、アドバイスに従ったことが是となった喜びを感じ、始めてみて、少しは何かを得られたような気がしています。

2010年の5月から講座最後の聖徳太子の講義が始まっています。仏教に対する興味はまだ尽きません。

次はどういう知識を得ることができるのでしょうか・・・楽しみです。今回の講座受講経験はとても有意義なものでした。今後もこういう機会を利用・活用していければと願っています。