生涯学習講座

2008年度受講講座
『明治維新史のひとこま』

2008年度講座受講生/平野法好さん

平野さん 写真

河内先生と初めてお会いしたのは、今から十数年前である。私は大谷大学在学中、柔道部に所属しており、三回生時に自坊の日田市専念寺で夏季合宿を実施したことが縁となり卒業後は四・五年に一度は自坊で合宿をお世話することが慣例となっていた。たまたま先生が柔道部の顧問を勤められた年、部員の激励に専念寺に来られたのが初めての出会いである。
聞けば中国文学が専門といわれるので、早速五岳上人の百回忌記念に刊行した遺墨集を差しあげた。先生は五岳上人の漢詩に大変興味を持たれたようで、その後は大学院講義の教材にも使われたと聞いている。私は平野五岳の玄孫として、河内先生が五岳上人の研究を深めておられることに、ただただ尊敬と感謝の気持ちで一杯である。

専念寺(大分県日田市)

2000年10月に熊本城で五岳上人遺墨展が開催された。折角の機会なので先生に案内状を差しあげたところ、たまたま先生にも九州でご用があるとのことで、参観するという返事をいただいた。
先生が来られたその日のことである。展示した作品の中に、例の西郷隆盛の肖像画が掛けられていた。それまでは誰も深く考えていなかったが、先生はその作品に着眼され、一見して五岳上人と西郷南洲が面談していた事実を看破された。三年近く研究を重ねられた後、2003年8月にマスコミに発表されたときには全国的な大スクープとなった。

専念寺にある五岳上人像

今回案内をいただいて生涯学習に参加させてもらったが、講義の中心人物となった平野五岳直系の玄孫である私にとっては、ひとしお感慨深いものがある。同時に、これを機会にして五岳上人の筆になるあの西郷隆盛像が一層広く世間に知れわたることを切に願っている。

ちょうど今年は五岳上人生誕二百年にあたり、地元日田ではさまざまな記念行事が開催されるとともに、若い人たちの間で西郷隆盛実像の認知をはかる動きが出始めている。