地域連携

中川学区の暮らし再発見プロジェクト

プロジェクト概要

本プロジェクトは、2015年度から中川社会福祉協議会との連携事業として進めています。京都市北区中川学区は京都市北部の山間地域に位置し、中川・杉阪・真弓という3地区からなっています。川端康成の『古都』にも登場する地域であり、古くから北山杉で知られる林業で栄えてきた町です。しかし今では、住宅建築様式の変化などにより、中心だった林業は衰退しています。さらに少子高齢化、人口減少が進み、商店や金融などは撤退。最寄りの病院やスーパーまでは車で20分以上かかる状況になっています。公共交通機関であるバスは中川集落のみ停留所があるのですが、杉阪・真弓にはバスは通っていません。自家用車中心の生活によって、人によっては外出が困難な状況となっています。しかし、一見すると「暮らしていくのは大変そう…」ととらえがちですが、決して大変なだけではなく、そこにはかけがえのない地域の人たちが紡いできた自然の風土や文化、地域行事などへの思い、住民同士の助け合う風土など、これまで作りあげてきた歴史や暮らしの文化があります。

本学では、このプロジェクトを通して、地域に暮らす人々の思いを大切に、地域の抱えている課題や、地域のこれからのことを共に考えていきたいと思っています。また、地域に残る伝統や文化の積極的な発信、地域の資源を活用した新たな生活文化を創造するきっかけづくりなどにも取り組んでいきたいと思って活動をしています。山間の地域での暮らしのお話は驚くこともたくさんあります。何度も地域を訪ね、お話を伺い、さまざまな活動を共有する中で、暮らしを知り、そしてともに考えるという経験につながっていると感じています。

2022年度 活動報告

中川での大谷大学の活動も8年目を迎えました。これまで、毎月1回、中川社会福祉協議会が実施している「健康ふれあいクラブ」に参加し、参加者である学区の高齢者、さらには行事を実施する中川社会福祉協議会のメンバーの方、毎回参加される関係機関の方々との交流を通じて中川の暮らしの実態を多角的に把握する活動を行っています。真弓地区での学生が主体で行うサロン活動「and house.」を実施。地元住民有志の方が進めてこられた昔から地元で栽培されてきたお茶の復活プロジェクトへの参加。2019年度からはNPO法人HEROES(現:社会福祉法人菊鉾会の醸造部門ヒーローズ)との連携で、このお茶を使ったビール「京都・中川まんまビーア!」の製造にも取り組んできています。また、地域の活動の様子や四季折々の地域の風景などの写真や動画をSNSで発信する活動、生活実態の調査(2015年~2017年)、夏祭りなどの地域行事への参加などを進めてきました。昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、いくつかの活動は実施できない状況でしたが、今年度は、「健康ふれあいクラブ」に学生が参加し、学生企画を行うなど本格的に交流を再開することができました。また、「まんまビーア!」に使用する茶葉の収穫を5月と11月の2回実施でき、地域の理解が深める機会となりました。

採択実績

  • 公益財団法人 大学コンソーシアム京都 令和4年度「学まちコラボ事業」認定事業
  • 公益財団法人 大学コンソーシアム京都 令和3年度「学まちコラボ事業」認定事業

学生の声

社会学部コミュニティデザイン学科 第2学年 K.T

今年は1年を通して活動することが出来たので、1回生の時よりたくさんのことが経験できました。ビール作りでは茶葉の収穫からビールの販売、報告書作成を経験することができたし、実際にビールを売っているところにインタビューに行って、ビールがしっかり売れていることを実感できました。健康ふれあいでは季節のイベントも再開され、学生企画もしたりと毎回充実していました。今年度は多くのところに実際行って活動が出来たので、来年度も実際に行ってたくさんの活動ができるといいなと思いました。 

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