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OTANI TALK

Advance2019

哲学科 p.05


このページに掲載している情報は、取材当時(2018年度)のものです。

05:徳倫理学とはいかなる学問か

村岡:でも、徳倫理を説明しようとすると結構難しいですよね。

脇坂:倫理学っていくつかの分野に分かれるんですけど、例えば最近よく聞く生命倫理とか環境倫理とか情報倫理っていうのは、応用倫理学の一部なんです。いろんな具体的場面に応じた倫理を応用倫理って言います。それとはちょっと違って、例えば、そもそも善悪をどの角度から切り込むかっていうのがあるんですね。具体的な技術の是非を論じるうえでの基礎になる倫理学の知識みたいなものが必要になってくるんです。

対談の様子

私たちは善悪の判断を、何を基準にしてやっているかってところですね。クローンを作るのかという、やっていいことと悪いことの規範を、人々を幸せにするかどうかという基準で決める。これが功利主義という考え方です。例えば、100人の人を助けるために1人の人を殺すのは、義務論ではダメですが、功利主義では良いという結果が出ることもある。私たちは善悪の判断の仕方を複数持っているんです。

その善悪の判断に関して、どんな基準で判断するかっていうのが、義務論、功利主義、そしてこれと同列に並べられるかはわからないんですけど、徳倫理学があります。功利主義や義務論は、基本的に1人の決断で、個人としての私が決めるようなところがある。だけど、個人が決断するためにはその人が育ってきた社会とか学んできたものとかがあっての個人じゃないですか。社会の中でいろいろな人に支えられて学んでくる。そういう徳を身に着けてはじめて、人間は物事を判断していける人柄になっていくっていうところまで考えていくのが多分、徳倫理学ですね。

村岡:できない人もいるって本に書いてあった気がします。

脇坂:そうそう。できるようになる人柄、勇気とか決断力、教養とか、そういうものを備えた「人」を作るってことですね。そこまで考えに入れてるのが徳倫理学。善悪の判断っていうのは単なる頭だけの判断じゃなくて具体的なふるまい方を含むでしょ。ふるまい方っていうのは、例えばお箸の使い方。あれは本で読んでもわからないじゃないですか。それと同じなんです。良い決断ができるっていうのは、他の人が社会でやっていることを見て、自分でも真似をしたり、指導されたりしてやってみて、失敗もして怒られて褒められて、そうする中でその人の中に良い人柄っていうのが出来上がってくる。社会の中で鍛えられてそうして今ここで決断ができるようになる。決断をする場面っていうのは、100回あったら100回違うので、今この状況で何が一番良いのかを判断できる人柄を作るのが徳倫理学です。

徳って英語でVirtueって言うんですけど、これ、力っていう意味もあるんです。その力を身に着けていくっていうことですね。功利主義や義務論を臨機応変に使っていく人柄を作るっていうことかもしれません。こんな言い方をしたら徳倫理学がご専門の先生に怒られるかもしれないけれど。そういう意味で、やはり基礎の倫理学の中の一部ですね。こういう説明ではどう?

村岡:じゃあレポートはそっち方面で書きます。また相談に行くと思いますのでお願いします。

村岡さん



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