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OTANI TALK

Advance2017

文学科 p.08


このページに掲載している情報は、取材当時(2016年度)のものです。

08:文法を研究する者の深遠なる悩み

宮澤:卒論は、書けるかっていう不安がありますね。

大秦:研究って全部そうですけど、厳しいところがあって。文法をやってる人間って、深い悩みがあるんですよ。もう君もわかると思うけど、用語をどう捉えるかってことで悩むこと多いじゃないですか。そこをどうやって落ち着けて対象に向かうか。

大秦先生

文法ってな、研究するやろ。考えた後は、嬉しいんですよ。自分としては疑問を明らかにできたと思って世の中見渡すやろ。でも世の中何にも変わってへん。そういう現実が待ってる。自分がある助詞について、未だかつて誰も成し遂げなかった正しい理解を持てたとする。でもそれを発表しようがすまいが、世の中は変わらない。万能細胞を見つけて、これで人間の生活が豊かになるっていう研究とは全然違う。単に自分がわかったと思ってるだけ。これは悩みとして立ちはだかりますよ。

それに加えて、誰もたどり着けなかった正しい真理にたどり着けるとは限らないでしょ。僕ら専門で、これについて明らかにせんといかんって目標を立てる。でも明らかにできない。それなのに、みんな当たり前に日常の言語生活を送ってるんや。ものすごく惨めな気持ちになりますよ。自分だってその言葉を使って人とやり取りしてるにもかかわらず、その言葉を説明できないんやから。なんていう馬鹿者やろうと、自分のことを虚しく思うこともあるかもしれません。そういうのに打ち勝つだけの強さが必要なんだよ、我われの世界は。

宮澤:厳しいですね……。先生は今、「を」と「に」の他に、どんなことを研究してるんですか?

大秦:君らと一緒に『あゆひ抄』を読んでますよ(笑)。現代の文法は、古代から言われていることに裏付けられている、しっかり検証されているって確認せんといかんことなんや。だから古代の文献の読み直しが必要だっていう目的で『あゆひ抄』を読んでます。古代から今に至る文法に対する視点をとらえ直すってことを大事にしたいのと、個別の語法・文法で明らかになってないことは解決せんといかんのでね。今一番興味を持っているのは、文の基本構造。文っていうのは、どの要素が揃ったら文になるのか。この前、ホワイトボードにガーって書いた時あったでしょ。

宮澤:みんな魂抜けたときですね(笑)。

宮澤さん

大秦:もう誰も止められないみたいな、不安げな目で君らがこっちを見てたので、これはアカンと思って止めたんやけど、文については考えたいな。世界中を見ても文の定義は確立できていない。だから僕自身も答えを出せるかわからないけど、せっかく言葉の研究に携わっているんだから、何がしかの答えを出したいなとは思ってます。こんな人間ですけど、文学を明らかにするのに貢献したいと思ってますよ。はるかな目標ですけど。お互い頑張って進んでいきましょう。

PROFILE

  • 大秦 一浩(Ohata, Kazuhiro)文学科 准教授

    大秦 一浩(Ohata, Kazuhiro)文学科 准教授 1973年京都府生まれ。京都府立大学卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。2006年大谷大学文学部着任。
    萬葉集に代表される上代文献の語法・文法を主たる研究対象としており、上代以降の国語変遷過程を辿り、既存体系が動揺することの一般的契機を通時的に把握することによって、後代から前代の姿を浮き彫りにすることを試みる。また、これに併せて、伝統的歌学・歌論に記述された語彙把握や語法解釈の今日的意義について、国語学史の観点もふまえた検討を行ないたいと考えている。

    (文学科)大秦 一浩 准教授の紹介ページはこちら ≫
  • 宮澤 薫(Miyazawa, Kaoru)文学科 2014年4月入学

    宮澤 薫(Miyazawa, Kaoru)文学科 2014年4月入学 伊那西高校(長野県)卒業。
    国文学コース/大秦先生のゼミに所属。文学作品を読み物としてではなく、研究対象として作品に触れるようになったとき、これまでとは違う視点から文学に向き合っていることに気づく。文学をする者の苦悩と覚悟を教えてくれる先生のもとで、調べないと自分には一切わからない不思議な文法の世界に面白さを感じている。
    1人の時間も友人との時間も大切にしながら、着実に歩みを進めている。


OTANI TALK 2015 文学科 対談ページ|(先生)大秦 一浩 × (学生)宮澤 薫 : 夢ある古典世界をひも解く力をつける ≫

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