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OTANI TALK

2013

社会学科 p.08


このページに掲載している情報は、取材当時(2012年度)のものです。

08:地域福祉のおもしろさ

 中 :先生の研究はどんなテーマですか?

先生の本棚 志藤:僕は地域福祉というのをやっていて、最近は特に中山間地域と呼ばれている山の中とか過疎地に入って行って、そこの暮らしをみてます。どうしても高齢化が進んでいるので、福祉と関わってくるんですよ。学生を連れてフィールドワークをするんですが、20所帯くらいの人に集まってもらって、住民懇談会を開いたりします。これからの村づくりとかに関して、答えがあるわけじゃないんだけど、話し合いをしながら見つけていくんです。

学生と調査に行くのは面白いですよ。1週間泊まり込みで、毎晩どんちゃん騒ぎして。村ですからいろいろ差し入れやお土産をいただいたり。一昨年は両手で持ちきれない程のジャガイモをもらいました。おばあちゃんがどうしても持っていけって言ってくれてね。去年はイチジク。拠点となる施設でしばらく休んでたら、「あんたたちに取ってきてやったわ〜」って、おばあちゃんが袋いっぱいのイチジクを持ってきてくれてね。村の状況は深刻なんやけど、そういう風に明るいんですよね。

奈良の五條市というところでは、台風で被災された方が今でも仮設住宅で暮らしていて、山間の家に帰れないんですよ。難しいのは、家が流されたとか、形で被害がわかる人には補償があるんですけど、家があるのに住めない人には何もないんですよね。もともと10所帯の村で8所帯が流されてしまって、自分の家は無事だったけど自分だけ帰ってどうするんだというところもあって、すごく悩んでおられますね。今年の11月で定められた期限が切れるから仮設住宅からは出て行かなきゃいけないんですけど、公営住宅があまりないんです。仮設住宅では村の人がみんな一緒のところに住んでいるんですけど、公営住宅になるとみんなバラバラになるんです。それが怖いって言って、今年の11月をどう迎えるか、話を聞いていると大変な状況ですね。自治体の職員さんも一緒にどうしたらいいかなって考えてます。本当に山の中ばっかり行ってます。紀伊半島の真ん中は大変ですね。天川村とか川上村とか。

 中 :あ、知ってます。ダムがあるところですよね。

志藤:そうそう。「東の八ッ場、西の川上」って言われてて、ダムの問題があるんです。40年以上経っても稼働してなかった。どうにもこうにもならなくなってるんですよね。川上村には1週間くらい行って調査したんだけど、集落は山の頂上にあるんです。極端な話、隣りの家に行くまでに山をいったん下りてまた登るんですよ。あまりにもしんどいから、おばあちゃん同士が電話を片手に、もう一方の手には双眼鏡を持って隣りの山の相手を見ながら「どうしとんね〜?」って話すんですよ。

 中 :それはすごいですね(笑)。

志藤:そんなところだから買い物が結構大変なんです。調査に行ったとき、水が美味しくてガブガブ飲んでたらお腹が痛くなって、薬局の場所を聞いたら、一番近いところで片道35分かかると。それで、富山と和歌山には置き薬の伝統があるんだけど、ちょうどそこは吉野の薬売りの文化があるところで、「こんなんあるよ」って、おばあちゃんが聞いたこともない薬を持ってきてくれたんですよ。黒何とか丸とかいう、いかにも怪しそうな(笑)。でもそれがまた良く効くねん。「お兄ちゃん、これ持ってきな」っていうことでそれを一箱もらって、本当に助かりました。コンビニも車で30分。救急車も来るまで30分。警察にも30分。そういう村ですね。

対談の様子 買い物に行く手段がないので、皆さん目が悪かろうと認知症になろうと、とにかく車に乗るんです。高齢だから運転もゆっくりだし脱輪もするし、危なくてしょうがない。それで宅配便のサービスがあるんですけど、注文書がマークシートなんだよね。薄い紙に小さい字で注文できる品物が書いてあって、その中から選んで印をつける。さすがにそれではやりづらいのでもう少し何とかできるといいなと思って、おばあちゃんに「これがもう少し改善されるといいですね」って言ったら「いや、食べ物は触らんとわからん」って(笑)。

 中 :私もみかんは触って確かめたいです。

志藤:あ、やっぱり?さすが和歌山だからそこは譲れないんや。それから新聞配達がないんです。新聞は郵送になるから、みんな昼に読むんだよね。朝刊じゃないの。しかも郵送料は自己負担。だからみなさん新聞は高いって言いますね。本当はiPadなんかを使うといいんですけど、なかなかね……。名前に拒否反応があるんですよね。iPadって名前にアレルギーがあるから、「なんでも板」とかだったらいいかもね(笑)。

 中 :「便利板」とか(笑)?

志藤:そうそう(笑)。人は少ないけど動物にはバラエティがあって、イノシシ、シカ、クマ、サル、タヌキ、キツネ、アライグマとかがいますよ。だからおばあちゃんたちは周りを柵で囲んだ中で鍬をふるっているんです。まるで檻の中。そうしないと全部動物に持ってかれちゃうからね。あとは、戦時中に毛皮利用と肉を食べるために持ち込んだと言われているヌートリアっていう大きなネズミがいるんだけど、それが繁殖していっぱいいるんですよ。犬くらいに大きくて、殺すのにも抵抗感があるらしいです。鴨川にもいるんだけど、ネズミだからものすごく増えるし、生命力も強いですね。だれか駆除してくれないかなあ。

 中 :そういうのは深刻そうだけど、夜な夜な酒盛りをしながら村の人の話を聞くっていうのは面白そうですね。私も行きたいです。

対談の様子 志藤:今度行くか?濃いで〜(笑)。なかなか打開策がないところが辛いけど、学生には一緒にフィールドを周ってほしいね。サークルやアルバイトもあるだろうけど、大学では、教員と一緒に社会的な経験をすることもできるってことも頭に入れておいてほしいな。経験の幅が広がるから。社会学科は特にそういうのが多いね。就職とか気になることもあるやろうけど、今いろいろ経験しておくことが次を作るから、先のことを考え過ぎないほうが、良い一歩を作っていくと思います。でも来年度は忙しいと思うよ。コマ数多いし、福祉系だけでガッツリ埋まってしまうよね。これから単位どうするかは考えていかんといけないね。遊びながらでも、しっかりやっていきましょう。

PROFILE

  • 志藤 修史(Shido, Shushi)社会学科 教授

    志藤 修史(Shido, Shushi)社会学科 教授 1964年佐賀県生まれ。龍谷大学大学院文学研究科修士課程修了。文学修士。1991年社会福祉法人京都市社会福祉協議会就職、2005年同退職。2005年大谷大学文学部専任講師、2008年同大学准教授、2013年同大学教授、現在に至る。社会福祉士。
    地域における生活問題がどのような実態となっているのかを明らかにすることが基本的な研究の内容。同時に、地域を創りだしていく力の源である、住民活動の展開、とりわけ、NPOやボランティア活動に焦点をあて、それの持つ意味と課題について、具体的に明らかにしていくことから、地域福祉を考えていく。

    (社会学科)志藤 修史 教授の紹介ページはこちら ≫
  • 中 麻(Naka, Asa)社会学科 2012年4月入学

    中 麻(Naka, Asa)社会学科 2012年4月入学 和歌山盲学校(和歌山県)卒業。
    「京都に行きたい」という思いから、障がいのある人に対して受験や大学生活での学びをサポートする仕組みのある大谷大学を受験することにした。
    大学でのサークルをはじめ、視覚障がい者のための複合施設や障がい者スポーツセンターなどでアクティブに活動中。将来は、地元の福祉を発展させるべく福祉関係の仕事をめざす。第2学年からは社会福祉学コースに進むことを決意したものの、時間割の多さに少しプレッシャーを感じている。


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