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そして、教壇へ。~彼らと教職支援センターの日々~

先生になるにはどうすればいいですか?2018

(3) 東 花純

やってきたことは、無駄じゃない。失いかけた自信を支えたボランティアの経験。(東 花純)[2018年3月 教育・心理学科卒/2018年度 京都府教育委員会採用(小学校)]

近年、各地の教育委員会では「教師塾」を開催するところが増えている。優秀な教師が欲しい教育委員会では、意欲と能力の高い志望者に対して、地域の実情に即したセミナーを行い、また学校現場での実践を指導する。教育委員会によっては、教師塾の修了者に対して1次試験免除などの特典を与えてくれるところもある。教職を目指す者にとって、必須ではないものの有力な道のひとつであることは間違いない。
大学3年次、東はその選抜試験を受けた。
そして、落ちた。
「私、向いてないのかも…」すっかり自信をなくしてしまった。大学の講義では授業の作り方や教師としての心構えを学んだ。ボランティアやインターンシップでは、子どもとの適切な距離を保ちながらの接し方や、教師の1日の仕事などについて身体に刻んできた。現場の厳しさを目の当たりにして「私にできるんかなぁ…」と不安がよぎることもあったが、それ以上に「この世界で頑張っていくんだ」という気持ちを強くしてきた。それがすべて否定されたような気がしたのだ。

片隅で泣いていた子が取り戻した笑顔。

数日後。東は教職支援センターにいた。周りの仲間たちは、来年の採用試験に向けてしっかり準備を進めている(ように見えた)。焦りを感じて教職アドバイザーの吉川先生に相談に行った。
「大丈夫!いままでやってきたことは無駄じゃないから。切り替えていこう、いっしょに頑張ろう」
ほんと?ほんとに無駄じゃなかったの?
彼女の脳裏に浮かんだのは、インターンシップ先の出来事だった。ちょうど運動会シーズンで、その練習や準備に学校中が沸き立っていたある日のこと。東が担当していた子が、ダンスの練習にも参加せず、体育館の片隅で泣いていた。その子には発達障害があり、運動会を前にした学校の様子の変化が理解できず、つらい思いをしていたのだった。東は何も言わず、その子のとなりに座って落ち着くのを待った。
「その子とは半年くらい関わっていて、その間に私とその子だけのコミュニケーションを開発していたんです」
紙に「やる?やらない?」と書いて示すと、指で答えてくれる。その子の指がゆっくりと動いて「やる」のところで止まった。やがてダンスの輪に加わったその子は、見守る東に向かって嬉しそうな笑顔を見せた。
「あの笑顔に出会えただけでも、私がやってきたことは無駄ではなかった。そう思ったら、また頑張れる気がしてきました」

教育実習での研究授業(理科)の様子。

頑張れ、じゃなく、いっしょに頑張ろう。それが“教育”ということ。

それから、東は教職支援センターに通い詰めた。「面接練習やる人ー!」と声を掛けると「よし、やろうやろう」とすぐに数人が集まる。その場に身を置いているだけでモチベーションが上がっていく、それが教職支援センターという場所だ。先生に励まされ、仲間たちと気合いを入れ合い、記憶の中のインターンシップ先の“教え子”の笑顔に支えられながら、東は失った自信を取り戻すだけでなく、自分なりの教師像を築き上げていった。そして、京都府の教員採用試験に晴れて合格。いまは、私、教師に向いてるかも、と思える。
「自分1人では、きっと乗り越えられなかったと思います。考えてみれば、インターンシップでの“紙に書く”コミュニケーションも、私が発見したわけじゃなくて、あの子といっしょに生み出したもの。誰かとの間に生まれたものだけが、ほんとに大切だし、力のあるものなんだと思います」
彼女が落ち込んでいたときに吉川先生が掛けてくれた言葉も、「頑張れ」ではなく「いっしょに頑張ろう」だった。そう、教えるということは、いっしょに頑張る、ということなのだ。

インターンシップ「教員養成サポートセミナー」での修了式の様子。

教育実習最終日にもらったメッセージ

子どもたちが自主的に考えた「サプライズ」のメッセージ。教育実習の4週間で子どもたちが成長した姿を見て感動した。

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