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そして、教壇へ。~彼らと教職支援センターの日々~

先生になるにはどうすればいいですか?2018

(2) 羽田 毅さん

保健室での2人きりの「授業」から始まった“熱い”教師への道。(羽田 毅)[2018年3月 教育・心理学科卒/2018年度 大阪府教育委員会採用(小学校)]

中学校に入学したとき、羽田は元気いっぱいで新生活をスタートさせた。だが、友達が1人、新しいクラスになじめずに、いつの間にか保健室登校になってしまった。
「中一ギャップというやつですね」
と羽田は振り返るが、その当時の彼にそんな専門知識があるはずもない。あいつ、どないしたんやろ…。心配していると、担任の先生から「羽田、おまえ、仲がいいみたいだから、ちょっと勉強を教えてやってくれんか」と頼まれた。人になにかを教える、ということに羽田が取り組んだ、それが初めての経験だった。
分かりました、と素直に答えて、羽田は休み時間に保健室の友達のところを訪ね始めた。
「俺がこいつのことを助けてやらなければ、というような気負いはありませんでした。普通にツレのとこに遊びに行く気分」
そんな羽田の自然体なところがよかったのだろう、保健室での2人きりの「授業」は思いのほか楽しく進んだ。「今日、こんな公式を習った」「それで、なんでこんな答えになるん?」「それはやな…ん?俺も分からん」そんなやりとりが何度も続いた。人に教えようとすると、自分がいかに分かっていなかったかが、分かる。それも新鮮な発見だった。そのうち、この楽しさをほかの友達にも教えたくなって、1人、2人とクラスメイトを誘って保健室に通うようになった。いつの間にか保健室はたいへん賑やかなことになり、誰かが、「おい、これ、教室となにが違うん?」と言い出して、半年後には保健室登校は終了となった。
「自分がなにかを成し遂げた、ということではなくて、仲間と一緒に教えたり教えられたり、という経験をしたことが、僕の進路を決めてくれたんだと思います」
こうして、羽田は大谷大学教育・心理学科の学生になった。

現場を知らなければ。その思いに応えてくれた先生。

入学して最初に驚いたのは、周りの学生たちの教職に懸ける想いの「熱さ」だった。
「先生って面白いなぁ、なれたらいいなぁって、僕はほとんど中学生のままだったんです。でも、周りの友達は、たとえば食事に行っても“教師の理想像とは”“自分たちに欠けているものはなにか”“現代の教育現場の問題とは”“こんな授業がしてみたい”って語り合うわけですよ。もう、大人と子どもです」
気炎を上げる仲間たちの話をウンウンとうなずいて聞きながら、羽田の中にはじんわりと焦りの気持ちがせり上がってきた。現場を見なければ!とはいえ、どうすればいいのか分からない。分からないときには教職支援センターに行く、というのが大谷大学で教職を目指す学生たちの習慣だ。
センターでウロウロしていると、岩渕先生が声をかけてくれた。「君、もしかしてボランティアに行きたいの? 行きたいんだな。うん、そうに違いない」すぐにいくつかのボランティア先を紹介してくれた。長期宿泊、大阪府子ども食堂、京都市や大阪市の小学校学習補助、大阪府放課後子ども教室。羽田は、紹介されたところに次々と参加していった。そして、実際に子どもたちと関わることでその成長に驚きつつ、それを支援することの喜びを改めて感じた。やはり、自分にはこの道しかない。

京都市北区の北区民ふれあい事業「北区こどものまち」にファシリテート役として参加。

“熱い”仲間たちに刺激されて勉強に集中した日々。

道が定まったあとは、教員採用試験に向けた勉強にも集中的に取り組んだ。大学で出会った“熱い”仲間たちと図書館やファストフード店、そしてもちろん教職支援センターに籠もって過去問を解きまくった。そんなとき、ふと、中学生のときの保健室の情景が頭をよぎることもあった。
教職に就きたいという強い思いのほかに、羽田にはどうしても合格したい切実な理由があった。卒業して就職が決まったらすぐにも結婚しようと約束した彼女がいたのである。合格の知らせも、彼女からの電話で知った。さっそく、岩渕先生に報告。“察していた”様子の先生は、「そうかぁ、よかったなぁ、めでたいなぁ」と、いつまでもニコニコと微笑んでおられたのであった。

1年生の頃から支え合ってきた“熱い”仲間たち。

岩渕ゼミの同期メンバー

はじめての「北区こどものまち」に参加した岩渕ゼミのメンバー。子どもへの関わり方の難しさ、楽しさを改めて感じた。

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