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入試情報

朝日新聞 掲載 2015
「今、切り開く 教育力」

Vol.07 井上 尚実 准教授

自分の生き方を見つめ 『歎異抄』を読み解く

このページに掲載している情報は、公開当時(2015年度)のものです。


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親鸞の考えに触れ 自分自身を問い 現代社会を見直す

— 大谷大学の真宗学科で学ぶ魅力を教えてください。

 親鸞の教えが、自分自身の生き方や現代社会の問題に、どのような意味をもつかを主体的に考えられることです。私のゼミでは『歎異抄』を読み、自分の考えを発表し、皆でディスカッションします。

 たとえば、東日本大震災における仏教者の役割を考えるとき、第四章の「聖道の慈悲と浄土の慈悲」をめぐる親鸞の言葉を参照します。被災地のために何かしたい気持ちがあるのに実際に行動できない自分がいる。こんなとき親鸞は「仏の大いなる慈悲の働きを信頼し、できるときにできる範囲で、無理せず自然に活動すればいい」というのです。巨大災害を前に、一人の人間として何をすべきか、そう簡単に答えは出ません。しかし、親鸞の言葉に触れることで、自分にとって何が大事なのかに気づくことができるでしょう。

 『歎異抄』の文章には、聞き手が疑問を抱くように意図されたレトリックがあります。読解するときには、歴史的・社会的な文脈を理解して読むことを重視します。親鸞はどのような情況でその言葉を語っているのか。当時の歴史を手掛かりに想像力を働かせます。

英語と現代語訳で『歎異抄』を読み 学校生活の中から言葉の意味を考える

— 長野県にある伊那西高等学校で行われた高大連携プログラムは、『歎異抄』を易しい英語と現代語訳で読むという新鮮な試みですね。

 真宗大谷派関係学校であることを前提に考えた授業です。仏教的な表現は高校生には取っ付きにくいところがあるので、簡単に英訳した方が分かりやすいと思いました。紹介したのは「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」など比較的有名な言葉です。親鸞の教えを高校生活に当てはめ、考えたことをグループで話し合い、発表しました。

 たとえば「自力作善の人」という言葉が出てきます。高校生に置き換えれば、良いことを頑張ってできる「優等生」にあたるでしょうか。その「優等生」に欠けているもの、逆に「劣等生」の方が人間的に良いところは何かを考えてもらいました。「優等生と付き合うのはしんどい。できない子は周りを和ませてくれる」など素直に答えてくれました。「優等生」として社会で評価されることを目標とするような生き方には、根本的問題があるという親鸞の考えに気づいてくれたように思います。

自分の問題として考える姿勢をもち 小説から親鸞に親しむ

— 真宗学科を目指す生徒は、どんな姿勢を養うべきですか。

 何事も、自分の問題として考える姿勢をもってほしいですね。そして考えるときには、マンガやアニメを通してでもいいので釈尊や親鸞の言葉を知り、思考の手がかりにしてほしい。高校生なら五木寛之さんの『親鸞』がいいでしょうか。現代の親鸞研究を踏まえて書かれた親しみやすい作品です。ちょっと背伸びして吉本隆明さんの『最後の親鸞』に挑戦してみるのもいいでしょう。引っ掛かったところは、立ち止まってよく考えてみてください。そこには、ほんとうに大事な問題に気づく鍵が見つかるはずです。

教員紹介

[真宗学科 准教授]井上 尚実

井上 尚実(いのうえ・たかみ)

1984年京都大学文学部卒業。1984〜89年長野県立岡谷南高等学校英語科教諭。91年大谷大学大学院修士課程(仏教学)修了。94年カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院(宗教学)M.A.、2010年Ph.D.取得。2003年大谷大学講師、10年から現職。専門は真宗学(仏教学、宗教学)
「真宗学演習Ⅲ・Ⅳ」=親鸞が語った教えのことばを伝える『歎異抄』をテキストに、人が生きる上でほんとうに確かなよりどころとなるものは何なのかを考える。具体的な現代社会の問題にあてはめて考えることも重視する。

井上 尚実(真宗学科 准教授)紹介ページ



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