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2020年度新着一覧

2020/04/01

2020年度新入生・保護者の皆さんへ 
大谷大学第28代学長 木越 康  

大谷大学第28代学長 木越 康

皆さん、ようこそ大谷大学にご入学くださいました。おめでとうございます。
新しい門出、新たなスタートに際して、本来でしたら入学宣誓式を行い、新入生歓迎の各種イベントなどを行って、皆さんをお迎えするところですが、世界中が新たなウイルスと闘う中にあってそのようなことがかなわないのが現状です。このような形でしか皆さんをお迎えすることが出来なくなり、全教職員、保護者会、その他大谷大学関係者、そして何よりも在学生諸氏は、たいへん残念であると共に、皆さんにはとても申し訳なく思っております。
現在のような厳しい状況下での大学生活のスタートですが、皆さんにとっては一度きりの大切な学生生活のスタートです。大谷大学では伝統的に「宣誓署名」の式を行い、大谷大学の建学の精神の前に、皆さんが学生としての誓いを立てる場を設けております。本年度はそのような機会を設けることが出来ませんでしたので、皆さんへの大谷大学からの願いをこのような形でお伝えし、併せて歓迎の意を表したいと思います。
大谷大学は、仏教、中でも特に親鸞聖人の精神を教育・研究の柱として掲げる大学です。したがって入学宣誓式をはじめとする諸行事も、すべて仏教式で行われています。もちろんこれは、皆さんに仏教徒や真宗門徒になることを要求しているわけではありません。ただ大谷大学が大切にする教育・研究の理念が仏教にあることを明確に示すため、常にこのような形で式典を執り行っています。
近年大谷大学では、この理念を「Be Real 寄りそう知性」と表現しています。この言葉の持つ意味については、これから「人間学」などの講義で十分に学んでほしいと思います。ただ今日は一点だけ、これから大谷大学で学ばれる皆さんへの大学の願いをお伝えしたいと思います。
大学生活ではそれぞれの専門分野にわかれて、学問を進めていくことになります。文学部・社会学部・教育学部と、三つに分かれていますが、ほとんどの皆さんにとっては、社会へ出ていく最後の学修機会となります。それぞれ存分に専門分野を学び、また課外活動など、大学生活を謳歌して欲しいと思います。ただ大谷大学は開学以来、専門の高等教育と合わせて「人間教育」に力を注いできた大学でもあります。専門教育と人間教育の二つを学びの両輪として、学生たちの成長を願ってきました。
大谷大学における「人間教育」とは何かを一言で表現することはたいへん難しいことです。歴代学長はそれを「宗教教育」や「仏教教育」と表現してきましたが、もう少し一般的な言葉で言えば、これはそれぞれが「自らの人間性を磨き、その理想的姿を探求する」ということになるのだと思います。
この世界には無数の生命が産まれ、生き、そして命を終えていきます。皆さんも、一個の存在として、一度しかない人生、一つしかない命を生きています。しかし、その生涯を皆さんは、いったいどのような姿勢で臨もうとお考えでしょうか。あるいは、そのようなことを一度でも考えてみたことはあるでしょうか。
どのような姿勢で、たった一度しかない人生に臨むのか、このことを考える時、私たちは一個の人間であると同時に、そのまま社会的存在でもあるのだということを忘れるわけにはいきません。私たち一人一人は、多くの他者との関係性の中で生き、活動していかなければなりません。私たちが生きるということはそのまま、他者との関係の中で自己を表現するということを意味します。その際、私たちはいったい何を理想とし、どのような態度で他者と接し、自己を表現すればいいのでしょうか。先ほど申し上げた「自らの人間性を磨き、その理想的姿を探求する」とは、具体的にはそのようなことを意味します。
現在に至るまでの人間の歴史を振り返ると、とても理想的であるとは言えない生き方を、私たちは繰り返してきました。もちろんすべての場面がそうであったわけではありません。しかし常に進化・発展を遂げてきたと考えられる人間の歴史にあって記憶に強く刻まれるのは、残念ながら争いや格差や差別に多くの人びとが苦しむ姿です。人間はいったい何を進化・発展させてきたのか、痛みと共に、大いに疑問が残る所でもあります。
時代はこれから、さらに複雑化することが予想されています。ますます多様な他者との間に、自分の生き方を見つけていかなければなりません。そんな状況を前に、理想的な人間の姿が何なのかを、私自身、皆さんの前に提示することはできません。また私の中にも、その理想像が明確にあるわけではありません。しかし一つだけ言えることは、私たち人間は、争うために生まれたのではないということです。奪い合うために生きているのではないということです。人間の理性は、人を傷つけるためや、排除するために発揮されるものではないはずです。どうすればお互いに友好的に、足りない部分を補い合いながら、理想的関係を築いていくことができるのか、人間の理性や知性、そして私たち一人一人の生命は、そのためにこそ発揮されるべきものだと考えます。特に今、世界中が新しいウイルスの脅威にさらされています。そのような時こそ、愚かしい争いではなく、共に支え合い、立ち上がっていく道を、知性と技術、資産を駆使して創造していかなければなりません。
多くの皆さんにとっては、大学が最後の学修の時間となります。5年後10年後、どんな自分になるのか、どう社会と関わっていくのか、大谷大学に入学する諸君には、それぞれの専門分野にあって、そのことを大切に問い続ける人間であってほしいと願います。この願いを心に刻んで、学生生活をスタートさせてほしいと思います。

保護者の皆様方に申し上げます。これから学生諸君は、各学部学科で、それぞれ専門の学修が進められます。ただ大谷大学は今申し上げましたように、専門教育に加え、「人間性の教育」を大事にしたいと考えます。いかに優れた知識と技術を身に着けたとしても、それが人を傷つける道具や目的で使われてしまっては、人間として成長することに何の意味もないと考えます。その意味で大谷大学は、自由な中にも、時には厳しく、学生たちを指導していくことになります。教職員一同、これから学生諸君の日々の成長に全力を尽くして参りたいと思いますので、保護者の皆様方には深いご理解とご協力とを、お願い申し上げます。

最後に、今一番大切なのは、皆さん自身の健康と、皆さんの周囲の方々の健康を気遣うことです。お互いに日常生活には十分注意を払い、みんながひとつとなって、この困難を乗り切っていかなければなりません。そして将来、何の不安もない日常生活を取り戻した際には、明るく充実した大谷大学での大学生活を一緒に創っていきたいと思います。
ようこそ大谷大学にご入学くださいました。おめでとうございます。これからどうぞよろしくお願いいたします。

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