学術研究

2016年度指定研究/東京分室指定研究

2016年度研究計画

研究名 東京分室指定研究
研究課題 宗教的言語の受容/形成についての総合的研究
—哲学的・宗教学的・人類学的視点から—
研究代表者 池上 哲司
研究組織 <研究員>
池上 哲司(本学名誉教授)
松澤 裕樹(PD研究員・西洋哲学)
田崎 郁子(PD研究員・特別研究員・文化人類学)
藤原 智(PD研究員・真宗学)

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研究意義・目的

真宗総合研究所東京分室での最初の共同研究となる本研究は、分室設置のねらい、すなわち東京という激しく流動する思想の場で自らの思索と研究を鍛え直すことを目指して、宗教において語られる言葉が現実に生きるわれわれにとってどのような働きかけをもたらすかを哲学的・宗教学的・人類学的に解明しようとするものである。
さらに、その研究を通して、言葉を受け取り、言葉を伝える者としての研究者自身のあり方そのものを自覚的に捉え直すことが目指される。

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研究計画・方法

松澤研究員は、なぜエックハルトはドイツ語説教で異端的言説をなすに至ったのか。彼のドイツ語著作における聖句解釈の方法とラテン語著作における聖句解釈の方法とを比較することで、言葉を受容し伝える者としてのエックハルトの思索を明らかにする。
田崎研究員は、タイとミャンマーにおけるカレンと呼ばれる少数民族の事例を取り上げる。つまり、プロテスタント・キリスト教の受容を通じたローカルな言語と社会の動態を調査・研究することで、宗教の言葉が現実の人間に何をもたらしているのかを明らかにする。
藤原研究員は、浄土仏教の伝統においてその中心にある「南無阿弥陀仏」という仏の名号に取り組む。というのは、この六字の言葉を受容し、讃歎するというかたちで新たな言葉が創出され、その循環として浄土仏教は伝統されてきたからである。本研究では、その言葉の探求を、浄土仏教において広範な影響を与えた中世の親鸞と、その言説を近代に受容した清沢満之を中心に確かめる。
池上研究員は、上記の研究と連携しながら、宗教的言語が生み出されてくる場としての宗教経験とそこで経験されている「宗教的なるもの」を現象学的に解明することで、なぜ宗教的言語がわれわれに強く働きかけてくる力をもつのかを考察する。

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